7月30日までに負債の返済が出来なかったためにアルゼンチンが債務不履行となったことで、ブラジル、アルゼンチン双方の産業界に不安が走っている。2~3日付伯字紙が報じている。
今回のアルゼンチンの不履行を受け、ブラジルの自動車産業界は戦々恐々としている。アルゼンチンは昨年からドルの流出を恐れ、ブラジル製品に対し一定数以上の輸入を行なわなくなっていた。
その影響もあり、この6月のブラジルの工業生産は4カ月連続で昨年同月比減となった。6月の減少幅は6・9%で、2009年9月に記録した7・4%の減少以来の最低の数字となっている。
自動車や電機・電化製品などを含む「耐久消費財」に限った場合の6月の生産は5月比で24・9%減、昨年同月比だと34・3%減という落ち込みようだ。
耐久消費財の生産が落ち込んだ大きな要因の一つが自動車産業だ。今年上半期のアルゼンチンへの自動車輸出は前年同期比で30%落ちていた。同国の昨年の自動車輸入台数は97万台でブラジル製品がその半分を占めていたが、今回の債務不履行の発表後、同国の自動車輸入は約半分の50万台並に落ちるのではないかと見られている。
また、アルゼンチンの輸入業者からの入金が滞ることを心配する声も出てきている。ブラジルの繊維製造業社サイヴォンのディレクター、レナート・ビッテル氏は、「従来はアルゼンチンへも、企業からの送金票が送られてきたら品物を発送してきた。だが1年位前からは企業側の送金手続き後も同国中銀からの入金が遅れ、1週間後にやっと入金されることがあった。今後はうちの口座への入金が確認される前の商品の発送はとても出来ない」と語っている。
一方、ブラジルの工業生産や経済活動の低下はブラジルの消費の低下にも当然つながるが、それはアルゼンチンの景気にも悪影響を与える。同国の専門家によれば、ブラジルの国内総生産(GDP)の成長率が2%以下だと、アルゼンチンからの輸出は伸びないか減少するという。
今年上半期、ブラジルのアルゼンチンからの輸入は全体で20%減少した。特に小麦関連は50%、自動車部門も28%落ちている。アルゼンチンでは小麦の90%、自動車の80%をブラジルに輸出しているだけに、この落ち込みは大きな打撃だ。
アルゼンチンでは14年の国内総生産(GDP)を0・5~1・5%減と見ていたが、今回の不履行後は、3~3・5%減と下方修正する動きが見られている。
ジウマ大統領は、今回のアルゼンチンの件をG20会議の議題とし、債務国の債務再編問題を法制化したい意向を持っている。現在のところ、債務再編に関しては国際法が存在しない。アルゼンチンの場合、2001年のデフォルトの際は返済が100%不可能な状況だったが、今回のデフォルトは、一部の債権者への返済を同国が渋ったのを米国地裁が認めず、全ての債権者への全額返済を一度に求めたために起こったものだ。