ウクライナ問題に関して米国や欧州連合(EU)諸国から受けた制裁への報復として、ロシアのプーチン大統領は6日、これらの国からの一次産品の輸入を停止することを発表したが、これがブラジルの農産物の輸出を増加させるものになりうると、7日付伯字紙が報じている。
ウクライナ東部の分離独立を支援したことで、ロシアは現在、米国やEUから経済、技術、防衛の各分野での制裁を受けている。それにはロシア企業への融資の禁止などが含まれており、米国のオバマ大統領によると、「1千億~2千億米ドルの投資をロシアは逃したはずだ」という。
そうした事態を受け、プーチン大統領は6日、これらの制裁に加わった米国、EU、日本、オーストラリア、カナダなどの国に対し、一次産品の輸入制限を行なうことを宣言した。特に牛・豚・鶏肉、魚、牛乳・乳製品、野菜、果物などの「農業関係の製品や原料および食料品」は、輸入を全面的に停止するなど厳しいものだ。この措置は7日から1年間行なわれることになる。
プーチン大統領は今回の措置に関し、「国内産業の保護」を表向きの理由としたが、この措置はEU諸国の農業界には大きな痛手となる。それはEU諸国にとってロシアは世界で2番目に大きな市場で、13年には135億米ドル分の食料を輸出していたからだ。米国も同国の食料輸出全体の割合からすれば大きなものではないものの、13億米ドル分の食料をロシアに輸出した。
ロシアの衛生管理局のセルゲイ・ダンクヴェルト局長は6日、「ブラジルかの肉類と乳製品の輸出増加を認めることになる」と明言した。同局長は2カ月前に、ブラジルのネリ・ジェレール農相に「肉類で緊急の助けが必要だ」と伝えている。
この報を受け、ブラジル貿易会(AEB)のジョゼ・アウグスト・デ・カストロ会長は「ブラジルは間違いなく恩恵を受けることになる。特に肉の輸出が加速することになるだろう」と語った。
今回のロシアの政策変更でブラジルが最も恩恵を受けると思われるのは鶏肉だ。それは同国の鶏肉消費は米国からの輸入によるところが大きかったからだ。フォーリャ紙は、米国からの輸入分がブラジルに注文されれば、13年は6万トンだった鶏肉の輸出量が21万トンまであがる可能性があると分析。その場合は3億米ドルの増収となる上、EUからの輸入分(推定4万トン)も受注の可能性があると見ている。
ロシア政府は最近になって、衛生面を疑問視してここ数年間、輸入禁止の対象としていた鶏肉と牛肉、それぞれ約20の生産・加工場に対する輸出禁止措置を解除する意向を表明していた。
ブラジルにとってのロシアは決して大きな貿易相手国ではない。14年上半期のロシアは15番目の輸出相手国で、輸出額は16億6900万米ドルで輸出総額の1・51%を占めるにすぎないが、上半期の貿易収支が弱含みだっただけに、輸出増への期待は大きい。
タグ:写真ニュース