JICA関西の「2014年度教師海外研修」で、2日から滞伯する10人の現役教師が6日午前、援協運営の自閉症児療育学級「青空学級」(PIPA、和嶋リカルド施設長)を訪れ、児童や指導員、援協関係者らと交流した。今研修は国際協力の現場を視察し、所属校で国際理解を深める授業の教材収集を目的とし、昨年に続き今年も当地へ10人の教師が研修に訪れた。
これまでも海外経験を児童らに伝えてきたという、交野小学校(大阪)の廣田桜さん(29)は、「子どもたちにとって外国は遠い存在。外に目を向けて、日本という国が世界からどう評価されているかを知ってほしい」と話し、中高一貫の西大和学園(奈良)で国際教育部に属する丸谷貴紀さん(35)も、「国際リーダーの育成を図っているが、貧民層など細部まで目の届く人材を育てるために教師が経験を積まなければ」と意欲を見せた。
一同が6日に訪れたPIPAは08年に設立され、現在6~16歳までの生徒14人と指導員6人が所属する。年代別3クラスに分かれ、国語や算数、体育といった基礎科目の他に一般教養、職業訓練なども時間割に組まれている。
授業参観を終えた参加者からは、「薬品に頼らない施設の方針が素晴らしい」「各生徒に合わせた声かけや対応があった」「父兄との密なコミュニケーションがなされている」との感想が聞かれた。続いて隣接する日伯友好病院に移動し、意見交換会が行なわれた。援協の菊地義治会長からは「日伯に通じる人材育成のため、今後の指導や教育に役立てて」と激励され、天内ヴァルテル院長からは施設紹介がなされた。
この日班長を務めた聖母女学院(京都)の社会科教諭、中田悠志さん(35)は、「ブラジル社会へ良い影響をもたらし、貢献を続ける日系人の姿に感銘を受けた。またブラジル人の子どもたちの生き生きした表情にも感動した。この経験を多くの生徒に伝えたい」と笑顔であいさつした。
JICAブラジル事務所の遠藤浩昭次長は、「何人もの生徒を抱える皆さんは、我々にとって心強い存在。ブラジル社会やコロニアに触れて、見たこと感じたことを〃国際広報役〃として若者たちに伝えて欲しい」と期待を寄せた。
教師らはこの日、パラー州ベレンへ向かい、トメアスーの森林農法やブラジリアの教育機関も視察した。12日まで滞在する。帰国後は授業実践報告や、研修体験談の発表会が設けられている。
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