7月31日にサンパウロ市東部のアパートでピシャドール(落書き人)2人が射殺された事件で、軍警の監察局が事件に関与した軍警4人の身柄を拘束した。
事件が起きたのはモオッカ地区にあるアパートで、アレックス・ダラ・ヴェッシア・コスタさん(32)とアイルトン・ドス・サントスさん(33)の2人が何の問題もなく門から入った様子や、エレベーターの中でもにこやかに携帯電話で写真を撮ったりしながら上っていく様子は、ビルの中の防犯カメラにも録画されていた。
ところが、2人がビル内に入ってから約20分後、門番や管理人が他の人がエレベーターを利用出来ないように扉をあけて椅子などをあてがう様子などに続き、管理人から強盗侵入との通報を受けた警官4人が2回に分けて乗り込んでくる様子が映し出された。
ビルの中を探し回っていた警官達は18階で強盗犯2人を見つけたが、犯人達が抵抗したため銃撃戦となり、被弾した犯人達は死亡、警官一人も腕にケガをしたと報告され、市警の調書には犯人達の所持品として38口径の拳銃などが押収されたとも記載されている。
だが、死亡した二人の遺族は、彼らは武器など持った事がなく、いつものように落書きをしに出かけたとして、強盗事件として扱われた事への疑問を提示。所持品とされるカバン(モッシーラ)の中には本人達のものではないイヤホンが入っていたが、ペンキの缶などが入っていなかった事などの矛盾点も指摘した。
市警や軍警監察局は、ビル内部の防犯カメラの映像や周辺の建物などの防犯カメラの映像、目撃証言などを集めて捜査をしていたが、本人達が落書き仲間に「どこそこのビルで落書きをやる」などと知らせていた事や現場から300メートルの所で落書きする様子からは武装していた気配はない事、アパート住民も武装していた様子はなかったと証言している事などを確認した。アパート住民の一人が銃声は2回に分け少なくとも10発聞こえたと証言した事も捜査官達の疑惑を招いた。
一方、事件発生から軍警本部への通報までは48分もかかっており、報告そのものも事件に関与していない別の軍警からなされた事、犯人がいると思われる階への接近の仕方や負傷者が出た際の対応のあり方などが規則に反していた事などを重く見、事件に関与した軍警4人の逮捕を命じた。軍警裁判所が監察局からの申し立てを受理すればこの4人はサンパウロ市北部の軍警刑務所に収監される。
監察局によれば、逮捕されたマツオカ中佐(28)、アミルセーザル軍曹(45)、セガラ伍長(41)、フィゲイレド伍長(35)の4人にはいずれも、勤務中に容疑者2人を射殺したという経歴があるが、これまでの事件は不当なものとは見なされていなかった。
なお、殺害されたコスタさんは窃盗容疑、サントスさんは落書きでの逮捕歴があるが、強盗などの重い犯罪歴はない。また、埋葬された時の二人の遺体には落書きをした時のペンキの汚れが残っていたという。(1日、7日付エスタード紙、同フォーリャ紙など)