安倍晋三首相は、サンパウロ市内ホテルで2日午後6時前から、在伯公館によるスポーツ交流会に出席した。日系人が大きく関わるスポーツとして柔道、野球・ソフトボール、卓球界から選手、協会員らが招かれ日伯親睦化を図った。安倍首相は関係者を前に、「スポーツを通じた日伯交流のさらなる友好を願う」とあいさつ。今年5月に全伯で上映された柔道映画『グランデ・ビットリア(Grande Vitoria)』の原作者マックス・トロンビーニさんと、主演俳優のカイオ・カストロさんからは、同映画のメッセージ付きDVDが手渡された。
交流セミナー『スポーツ・フォー・トゥモロー~日系社会が結ぶ日伯スポーツの絆~ リオから東京へ』に参加するため、安倍首相は午後5時50分過ぎ、会場に姿を現した。4種目50人ほどの関係者から拍手で迎えられ、笑顔でそれに応じた。
あいさつでは「日伯間にはスポーツを通じた深い関係がある。日系人による指導は技術のみならず、日本的礼儀など精神面での向上にも寄与している。礼儀正しさや謙虚さがこのブラジルの地で、今もなお息づいていることに感動を覚えます」と称え、「リオ五輪から東京五輪へ。今後益々、両国間のスポーツ交流が促進され、双方の夢をつなぐことや、リオ五輪の成功や日系選手の活躍を期待します」とエールを送った。
柔道、野球、卓球の順に関係者と記念撮影が行なわれ、首相からは柔道着や野球バットなど用具が贈られた。柔道界から出席したのは、有段者会の関根隆範会長、岡野脩平名誉会長、72年ミュンヘン五輪銅メダリストの石井千秋さんほか、映画「グランデ・ビットリア」のトロンビーニさんとカストロさんの姿も。記念撮影時に両氏は同映画のDVDを手渡した。
包装容器の裏には、〃規律を重んじる柔道本来の姿を、我々もブラジルの地で受け継いでいる。人間形成に役立つ柔道に感謝〃といったメッセージを書き込み、伯柔道界を代表して、競技文化への感謝を記した。
トロンビーニさんは、「しっかりと目を見て握手していただき、首相からも感謝の気持ちが伝わってきた」と印象を語り、「貧しい人にも柔道を広めて、人間形成に役立てたい。日本政府にはさらに普及させるための支援、協力を期待したい」と願った。
岡野名誉会長らは何も知らされておらず驚いた様子だったが、「ブラジルで生まれた柔道映画だからこそ、深い意義がある。柔道の哲学、精神が根付いていることを知ってもらうために見て欲しい」と話した。
その後はブラジル柔道連盟のパウロ・バンデルレイ会長が、「今では約200万人の柔道競技者がいると言われる。これほど根付いたのは日本政府の協力もあり、この場を借りて感謝したい。リオから東京へ引き継ぐ五輪を機にさらなる友好を願う」とあいさつし、6~14歳の非日系5人と指導者1人による実演が行なわれ、受身や投げ技を披露した。