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ジウマ政権いよいよ始動=極貧層一掃まで休まず=就任挨拶で安定成長も約束=公務初日は来賓7人迎える

ニッケイ新聞 2011年1月4日付け

 昨年10月の統一選決選投票で当選を果たした労働党(PT)のジウマ・ロウセフ氏が1月1日、第40代ブラジル大統領に就任。雨にもかかわらず就任を祝った国民の期待を担う初の女性大統領は、2日には7カ国首脳らと会談、3日には初の閣僚会議など、精力的に活動中と2〜4日付ブラジルメディアが報じている。

 ジウマ新大統領と民主運動党(PMDB)のミシェル・テメル副大統領の就任式は、時折強い雨が降る生憎の天候下で行われたが、世界各国からの来賓や全国から集まった知事、議員、国民らがその就任を祝った。
 失業率はブラジル史上最低の5・7%、今年の経済成長率も4・5%と予想され、退任直前の調査での支持率は87%というルーラ前大統領の後を継いだ新大統領は、就任後初の演説でルーラ政権が導入した政策と安定した経済成長継続を約束。
 選挙時の公約である貧困層削減のためには経済成長は不可欠とした上、「食に窮する人がいる間は休む事はない」と宣言した新大統領は、教育や保健衛生、各種の社会政策の拡充と治安対策を優先課題とした他、中南米諸国や欧米との外交関係強化、環境問題への取り組みなども訴えた。
 正式に正副大統領としての宣言を受ける国会前には、就任を祝おうと全国各地から集まった大勢の国民。大統領としてのたすき受領後の来賓挨拶の場面では、米国のヒラリー・クリントン国務長官とベネズエラのチャベス大統領が相次いで現れるなど、国際社会での存在感と重みが増しているブラジル元首就任式ならでは光景も見られた。
 イタマラチ宮殿に最初に現れたクリントン氏は最初に退場、チャベス氏も早々に退去したため、カクテルパーティでの両者対面はなかったようだが、国務長官の来訪は米国がブラジルとの関係修復を望んでいる証拠と見られており、今年前半の新大統領の国外訪問予定リストにも、米国の名が挙げられている。
 また、ルーラ前大統領が退任直前、イタリア人の活動家セーザル・バチスチ氏の強制送還はしないと決めた事で緊張が高まるかに見えた対イタリア外交も、ブラジル駐在大使のパーティ出席で緊迫感がやや薄れたようだ。
 2日は、韓国の金滉植(キム・ファンシク)首相や日本の麻生太郎元首相、パレスチナ自治政府のアッバス大統領、ポルトガルのホセ・ソクラテス首相ら7人の来賓と会談し、外交主体の1日を過ごした大統領。3日はサルネイ上院議長らの訪問を受けた後、主要閣僚と政策会議を持ち、ルーラ政権が託した緊急課題への対処などを検討するなど、精力的な動きが伝えられている。