ニッケイ新聞 2011年1月5日付け
ジウマ・ロウセフ新大統領の就任式に出席した麻生太郎特派大使(元首相、福岡県)、河村建夫衆議(山口県)、中井洽衆議(三重県)、黄川田徹衆議(岩手県)ら4人の議員団がブラジリアからサンパウロ市を訪れ、3日、移民史料館、開拓先没者慰霊碑などを訪れた。同日夜にはそれぞれの県人会で母県国会議員の歓迎夕食会が開かれ、会員や留学生OBなど関係者と親睦を深めた。
福岡県人会=日本は経済・文化力ある=麻生元首相気さくに懇談
麻生元首相を迎えて福岡県人会館で開かれた夕食会には大部一秋総領事も同行。南アゴスチーニョ会長、元会長、会員ら約30人が集まった。
南会長、大部総領事に続いて挨拶した麻生元首相は日本の現状について、軍事、経済、文化の面から紹介。現在の経済低迷や、政権交代後の中国、ロシアなどとの外交問題などを挙げる一方、漫画やアニメなどの文化が世界に広まっていると強調した。
麻生元首相は、「日本は経済力は強い」とし、「同時に文化の面でも知らず知らず上がっている」と話し、軍事・外交面についても「自分の事は自分で守る気概が必要」と述べた。
中村勲顧問の発声で乾杯後は、出席者が自身や先祖の出身地の紹介などを交え自己紹介した。当日は県費留学生のOBも多く参加し、流暢な日本語に驚いた様子も見せていた。
県人子弟から平田ジョン進、上野アントニオ義雄の2連邦議員が誕生していることが紹介され、麻生元首相からは県人会員の数などについて質問もあった。
今では全国に2千人の愛好者がいる和太鼓は、同県人会が10年前に母県へ太鼓寄贈を要請したことから始まったものだ。会場では元県人会長で現在ブラジル太鼓協会名誉会長を務める矢野ペードロさんが麻生元首相へ、同協会の活動を記録した冊子を手渡し、母県・県人会への感謝の気持ちを語った。
食事をとりながらの歓談は終始和やかに続き、麻生元首相は出席者一人ひとりと言葉を交わし、気軽に記念撮影に応じる姿も。最後に松尾治元会長の発声で万歳三唱した後には、元首相から県人会のため改めて万歳三唱。午後8時前に会館を後にした。
元首相との懇談では、留学生会の必要性など県人会活動のアドバイスをもらったという南会長は、「こんなに簡単に話せる人とは思わなかった。来てもらって本当に良かった」と笑顔を浮かべた。
第2回県費留学生として68年に九州大学で学び、青・壮年部長、副会長などを務めた鹿毛アデマールさん(68)は、「こういう交流は本当にすばらしい。元首相が来る組織である県人会がさびれてしまわないよう続けていきたい。それが一つの恩返しになると思う」と語った。