ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | 亜国銀行にトンネル強盗=被害は貸し金庫の650万ドル=伯犯罪者の関わり捜査される

亜国銀行にトンネル強盗=被害は貸し金庫の650万ドル=伯犯罪者の関わり捜査される

ニッケイ新聞 2011年1月7日付け

 年末年始の賑やかさに紛れて、アルゼンチンのブエノス・アイレス市にある銀行でトンネル強盗が発生した。4日間の銀行の休業中に136家族分の貸し金庫がこじ開けられ、総額650万米ドルが持ち去られたと推測される。2005年のフォルタレーザの中央銀行強盗の手口と類似していることなどから、ブラジル人の犯行が疑われ、捜査されている。5、6日付伯字紙が報じた。
 被害にあったのは1922年創立の亜国内で最も古いプロヴィンシア銀行で、ブエノス・アイレス県に属する公的銀行だ。犯人らは昨年7月より、地下5メートルの深さに、銀行から25メートルの距離にあるアパートの部屋と金庫を直結する長さ30メートルのトンネルを掘っていた。
 大晦日に金庫に侵入してから、1408個の貸し金庫のうち136金庫を電動のこぎりでこじ開け、トンネルを利用しては現金、宝石を持ち出していた。銀行が再開する数時間前の2日夜まで作業を続け、直前に逃げ去ったとされる。
 地元警察は「金庫内に設置された防犯カメラの映像では、31日午前、暗闇の中に突然電動のこぎりの火花が現れた」と話しており、映像には3人の男性が写っている。犯人らは他のアパートの住人に対し、部屋の改修工事を行っていると偽っていた。
 4日、被害のあった金庫の利用者が発表され、賠償の説明を求める利用者が銀行に押し寄せた。亜国では2001年の通貨危機によって預金価値が下がった後、タンス預金や貸し金庫を利用する人が増えていたという。
 また、犯人らが銀行内に侵入する以前の23、29、30日、さらに犯行時の2日未明に警報機が作動していた事が明らかになった。地元警察が見回りに訪れ異常なしと報告していたほか、警備員は振動感知機の作動も地下鉄の振動と判断していたなど、警備会社や警察の体制に大きな欠点が指摘されている。
 一方、亜国と隣接するリオ・グランデ・ド・スル州連警は、ブラジル人の事件への関与を捜査。強盗の手口やトンネルの構造が、フォルタレーザの中銀強盗事件や、PCC(首都第一コマンド)がアラゴアス、ポルト・アレグレ、パラグアイのアスンソンで企てた銀行強盗未遂事件に類似しており、国境付近の警備拠点には防犯カメラに映ったPCCメンバーと思しき人物の顔写真などを配布の上、トンネルで押収された犯人の備品についての情報を待っている。