ニッケイ新聞 2011年1月11日付け
2007年の経済活性化計画(PAC)導入時に、ルーラ前大統領から〃PACの母〃の名称を受けたジウマ大統領にとり、PAC関連の竣工式が60回見込まれる今年は、面目躍如の年と9日付エスタード紙が報じた。全ての工事が順調に進めば、毎週1回は竣工式という、嬉しい悲鳴を上げる年になりそうだ。
2010年の統一選挙前、PAC事業の竣工式をルーラ前大統領が選挙活動の一つに使い、取り沙汰された事は記憶に新しいが、今年のジウマ大統領は〃PACの母〃かつ政府責任者として堂々の竣工式出席となる。
07年導入のPACとその第2弾であるPAC2は、9日付フォーリャ紙指摘のように、事業の遅れや予算と実際の経費との差などが問題視されてきた事業だが、年内の竣工式が予定されているのは運輸、衛生、エネルギー開発など60事業。
これら60事業の大半は、環境許可取得の遅れや計画の不備、会計監査にひっかかるなどの事情で前政権中に完成できなかったもの。これ以上遅れが出なければ、少なくとも3分の1が上半期の内に竣工式にこぎつける見込みだという。
また、今年竣工予定の事業は、サンパウロ州グアルーリョス市やサントス市を始めとした下水道施設や浄水施設の完備、ファヴェーラの市街化など、社会関連事業が半数以上を占める見込みだ。
上半期に竣工予定の事業は、1月30日のマット・グロッソ州アリプアナン川のダルダネロス水力発電所(発電能力261メガワット)や、3月16日のサントス盆地メシリョン油田での天然ガス生産開始(日産1500万立方メートル)など。メシリョンの天然ガス生産開始は、カラグアタツーバ〜タウバテ間のガスパイプラインの操業開始も意味する。
下半期竣工予定の事業の目玉は、トカンチンスやピアウイ、バイア州西部の物流への貢献が期待されるイタキ港の浚渫工事完了。港内部の水深が確保される事で大型船の離着が可能となれば、安全性と共に生産性も向上すると見られている。
その一方、リオ〜サンパウロ州間の高速鉄道や主要空港の拡張整備などは、採算性や民営化問題など、専門家が早期見直しの必要を指摘する事業。資金計画や環境許可その他、正規の手順を経た計画進行は今後のPAC事業推進の必須課題で、12月7日迄に支払済みのPAC関連事業費は07〜10年開始分の58・7%。同事業推進役であったジウマ大統領に支払遂行責任も増し加わった新政権下でのPAC事業展開のあり方には、種々の提言も出ているようだ。