ニッケイ新聞 2011年1月11日付け
太陰暦によって日程が決められるカーニバルの今年の開催は、例年よりも少し遅めの3月の開催となる。リオ・カーニバルのエスペシアル・チーム発表は6日から、サンパウロでは4日からの発表となっている。年明け早々、カーニバルの雰囲気が高まってきた。
5日付のエスタード紙で紹介されたのは、17歳という若さでカーニバルの歴史を一冊の本にまとめたジョアン・バストスさん。その本は「エスコーラ・デ・サンバは、ただのお祭り騒ぎじゃない。それを僕らの世代にも知って欲しかった」との思いから、約3年の歳月をかけて執筆された。
新聞記者で1960年代からのサンバの歴史に詳しい、父セルジオ・カブラウさんの助けを借りて実現したもの。フォーリャ・セッカ出版社からの発売となる「Academicos, Unidos, e Tantos Mais ? Entendo os desfiles e como tudo comecou」は、1932年からのエスコーラ・デ・サンバ形成の歴史や審査基準とその理由、結果が写真と共にまとめられた。
10日付伯字紙は、7日夜に行われた2011年サンパウロ・カーニバルのコンテスト結果を掲載。ライーニャ(女王)に輝いたのは、ゲイをシンボルとするエスコーラ・デ・サンバ「アルコ・イリス(虹)」のパシスタで24歳のルアナ・カンポスさん(身長171センチ、体重61キロ)。中国、タイでの在住経験から一味違った〃タイ風〃サンバを披露したというのが、審査員の目を引いたようだ。2008年結成の新グループを代表し「私は同性愛者ではないけれどグループを通して性別の多様性をアピールしていきたい」とコメント。レイ・モモ(王)には、174キロのエンリッケ・デ・モウラさんが選ばれた。
建設から30年のリオのサンバ会場は、今年、3千万レアルをかけて医療サービスなどの拡充と観客席を1万5千人席増やす改修工事などを実施。改修後の同会場は2016年リオ・オリンピックのアーチェリー競技会場にも使用される予定だ。
一方、リオ・カーニバルの昨年の優勝チームであるウニードス・ダ・チジュカは、改修中だった市内セントロのサントクリスト区にあるチーム所有施設に同性愛者専用のトイレを設置。8日に行われた落成式には、市の観光局局長や新たな試みに関心を寄せる多くの人々が集まったようだ。