ニッケイ新聞 2011年1月18日付け
【既報関連】リオ州セラーナ地方での土砂災害は、再び土砂崩れたが起きたノヴァ・フリブルゴなど、死者総数が640人を超え、世界8位の大災害となった。週末も雨が降り、救助作業が難航する一方、リオ州などを中心に支援の輪が広がっている。
15〜17日付伯字紙などによれば、リオ州の避暑地として知られるセラーナ地方を襲った土砂災害は、11月からの2カ月半で年間降水量に匹敵する雨が降るという異常気象が原因だ。
だが、08年には同地方の住宅が危険とされる地域に密集している事などを指摘する報告書が作られていた事や、国連宛の公式文書にブラジルは自然災害に対する備えができていないと記載されていた事などを考えれば、土砂災害として世界8位の死者を出す大惨事は半分以上人災といえる。
ノヴァ・フリブルゴ、テレゾポリス、ペトロポリスの3市を中心とした土砂災害は、17日16時前に死者総数647人と報じられた他、主要3市で123人が行方不明など、同地方7市に深刻な影響を及ぼした。
被災地では17日の時点でも救援の手が届かない地域が残っており、15日付エスタード紙の、前記3市を除く同地方4市は孤立状態、スミドウロの不明者1500人との報道も気がかりだ。
周囲を山で囲まれた同地方の家は渓谷を走る川を挟むように広がり、山肌や川沿いなどの危険地域に住む人が多いと知りながら安全な地域に移す事を後回しにしたのは行政のミスで、雨の責任は最後に問われるべきとの言葉は肝に銘ずべき。ただ、作曲家トム・ジョビンが創作活動に使った農園の家も倒壊など、傾斜の急な山肌の民家と共に高級マンションや農作地も土石流に洗われたのが通常と様相を異にする。
物資搬送や救助活動に陸海空軍の支援も得、17日からはテレゾポリスの野戦病院も機能し始めた一方、軍警や消防のヘリコプターが救助活動をしている間も軍のヘリが基地停泊など、指揮系統に問題も見られる。
また、被災地に送られた救援物資の横流しや避難生活者でもないのに受領を試みるなど、心無い行為も見られ、不当な価格吊り上げには警察の手も入る予定だ。
義捐金受付は伯銀(Ag. 0741-2, CC 110000-9)か連邦貯蓄銀行(Ag. 4146、CC 2011-1)のSOS Teresopolisや、ブラデスコ(Ag. 6570-6, CC 2011-7)がイタウ(Ag. 5673、CC 00594-7)のリオ州Fundo Estadual da Assistencia Socialなど。食料や水、衛生用品その他の物資は、軍警や消防基地、赤十字、Pao de Acucar系店舗などで受け付けている。