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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2011年1月25日付け

 日本の最北端にある利尻・礼文の島は、今や観光名所になっているが、この島名はアイヌ語に漢字を当て嵌めたものであり、利尻は「高い山のある島」だし、礼文は「沖の島」を意味する。北海道の地名は80%がアイヌ語だとされ、あの札幌は「乾いた広い場所」、稚内が「飲み水が豊富だった所」であり、世界遺産の知床半島も「大地の行き詰まり」のアイヌ人の言葉から付けられた名前なのである▼ここブラジルの地名にも、インディオたちの呼び名を使っているところが多い。アラサツーバやクリチーバがそうだし、市内ではモルンビー、イブラプエラもツピー語からきている。確か西本願寺かの僧侶がインディオ語からの地名事典を編纂しており、大いに助かり重宝したのだが、どこかに紛れ込んでしまい—現物が見当たらないので残念至極だが、とても貴重な小冊子である▼我がサンパウロも、先人らはピラチニンガと呼び、睦まじく日々を暮らしていた。タマンドゥアテイやアニャンガバウーの川とチエテ河で水遊びに興じたろうし、あの「御茶ノ水橋」の下は川だったのであり、岸辺にはお茶の葉を茂らせていたのである。こんな長閑で楽しい緑の園も、イエズス会のアンシェッタ修道士が、インディオ教化のミサをし、パチオ・ド・コレジオを建てたりして小さな村から町へメガロポリスにと巨大化し、繁栄を謳歌する▼1月25日は、パウロがユダヤ教からキリスト教に改宗した日なのでこの町の名はサンパウロとなったのだが、あれから457年目の日がきょう25日。我れらがマンモスの都に改めて「おめでとうございます」(遯)