ブラジル国内ニュース(アーカイブ)

大量の蜜蜂が謎の失踪=危機にさらされる人類

ニッケイ新聞 2011年1月27日付け

 米国では数年前から養蜂箱からの蜂の失踪が心配されていたが、同様の懸念が、南伯のサンタカタリーナ州でも起き始めたと、26日付エスタード紙が報じた。
 アメリカ、カナダ、ヨーロッパの養蜂家の巣箱からミツバチが失踪するという問題が起き始めたのは4年位前からで、蜜の生産や作物の生産に蜂を必要とする農家の人達に大きな損害を与えている。
 国内で同様の問題が起きているのはサンタカタリーナ州で、多くの苦情を受けた養蜂連邦組合(Faasc)は科学技術委員会を設立し、問題を検討している。
 サンタカタリーナ州立大学教授で委員会メンバーでもあるアフォンソ・イナッシオ・オース氏は「苦情の多くは南海岸やフロリアノポリス都市圏からきている。平均で30%のミツバチが失踪している」という。蜂の失踪は日常的に起こるがその数は5〜15%程度で、30%は多すぎると説明した。
 同様の現象は2004年から2005年の冬にも発生し、ミツバチヘギイタダニによるものとされたものの、断定には至っていない。過去に発生した事例についても、いまだにその原因は明らかになっておらず、この現象がある季節に限定されたものではないことや通常の意味での「病気」ではない事から、蜂群崩壊症候群(CDD)と名づけられた。
 CDDの正確なメカニズムはいまだ不明で、イスラエル急性麻痺ウィルス(IAPV)との関連を示す報告もあるが、その他にも、栄養失調や農薬、病原体や免疫不全、ダニや真菌、遺伝子組み換え農作物(GM)や養蜂上の慣習、電磁波などの要因が考えられる。また、CDDが全く新しい現象か否かも不明だ。
 蜂がいなければ受粉が起きないため、植物もなくなり、動物や人間は次第に絶滅。アインシュタインは「ハチが絶滅すれば人間は4年間生存できない」と予告したが、数十億という数の蜂が静かに消息を絶っており、食物連鎖を断ち切られた人類を存続の危機にさらしている。

こちらの記事もどうぞ

Back to top button