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ジウマ大統領=人権擁護への思い新たに=ホロコースト記念集会で=ナチと軍政下の迫害を対比=真相究明委の実働目指す

ニッケイ新聞 2011年1月29日付け

 南大河州ポルト・アレグレで27日に持たれた〃国際ホロコースト記念日〃にちなむ集会で、ジウマ大統領が、人権擁護への思いを改めて強調したと28日付伯字紙が報じた。同集会は、前政権からの課題である真相究明委員会の立ち上げと実働を自政権中にと願う大統領にとり、初めての南伯公式訪問行事だった。

 〃国際ホロコースト記念日〃は26日で、リオ市イタマラチ宮殿で当日開催の特別集会には約350人が参加。翌27日開催のポルト・アレグレでの集会は在伯イスラエル人連盟(Conib)主催で、来賓として招待されたジウマ大統領はスピーチも行っている。
 ジウマ大統領が感情の高ぶりを見せたのは、Conibのクラウジオ・ロッテンバーグ会長から「貴女は、拷問を受けるという事や、拷問がある人物にとってどんな意味を持つかという事を良く知っておられる」と語りかけられた時だった。
 同会長の挨拶後、演壇に立った大統領は、約200人の会衆を前に、「アウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所の事を回顧する事は、人類に対するあらゆる種類の不当な戦い、不当な弾圧の被害者を思い起こす事」とし、「国内外での人権侵害行為に目を瞑る事はしない」と明言。
 第2次世界大戦中のユダヤ人への拷問とブラジル軍政下での拷問を対比しつつ、記憶を呼び起こす事の重要性を説いた大統領は、ユダヤ人が国家再建に向けて自分達の文化を守り通した事に敬意を示し、中東和平などの平和実現に取り組む姿勢も明らかにした。これに対しConib会長も、イランでの人権侵害問題に対する大統領発言は本物と歓迎の意を表明した。
 一方、軍政下の被迫害者でもある大統領にとって重要課題の一つでもあるのが、同時期の迫害の実態を明らかにするための真相究明委員会立ち上げとその実働。前政権最終年の2010年5月に提出された真相究明委員会設立案は関係閣僚間や議会でも物議を醸し出したが、2月に再開する国会で委員会設立承認を取り付け、任期中に実を見るのがジウマ大統領の目標であり、願いだ。
 消息不明となった活動家ら144人のその後を解明し、遺骨収集や埋葬などを願う家族らの願いを叶えるためにも、マリア・ド・ロザリオ人権局長官、ネルソン・ジョビン国防相、ジョゼ・エドゥアルド・カルドーゾ法務相らが一丸となって設立承認を目指すよう指示した事は25日付エスタード紙が報じている。