集団休暇、早期退職制度の導入、労働時間の短縮――。W杯中の試合日の営業停止も響き、販売の落ち込みが続く自動車業界。実質的にほぼ全てのメーカーが、生産調整を行っている状態だ。フォード、フォルクスワーゲン、メルセデスベンツ、ドイツのマン社中南米部門のマン・ラテンアメリカは、合わせて2800人の雇用を一時的に見合わせており、GM(ゼネラル・モータース)はレイオフ(企業の業績悪化などを理由とする一時的な解雇)を組合員と交渉中だ。
自動車業界で働く人は現在15万300人で、昨年の15万6900人を4・2%下回っている。
全国自動車工業協会(Anfavea)のルイス・モアン会長は「希望退職制度は、主に退職が近い年齢の人を対象に行っている。協会としてはできるだけ従業員を解雇しない方向でやっている。レイオフ導入は、今後業績が回復するという希望的観測の表れ」と話す。
今年1~7月の車の販売台数は195万台で、昨年同期比8・6%の落ち込みを記録。在庫が過剰になるのを避けるため、同期間中の生産台数は昨年同期比17・4%減と大幅に抑えられた。
販売台数の減少に伴い、在庫過剰が起きている。7月末時点の在庫数は、販売店が39日間かけて売る台数に匹敵する38万2600台になっている。業界では在庫期間は23~25日間、あるいは30~35日間が理想としている。
「工場や販売店でのストックが長引くとその分コストも増える。需要と供給のバランスを取るため、企業は宣伝や値引きで販売を伸ばす努力をするか、生産を抑えることになる。しかし生産削減も(過剰在庫同様)業界にとっては良いことではない」とモアン会長は懸念を示している。(11日付G1サイトより)