長崎市と姉妹都市提携を結ぶサントス市の日本人会(関谷忠機アルシーデス会長)による『第5回平和記念式典』が、小雨の降る9日午前9時、ロベルト・マーリオ・サンチーニ公園の日本移民上陸記念碑前で執り行われた。サントス市は長崎原爆投下日の8月9日を『核兵器廃絶運動の日』と定めている。日本人会会員を始め、市関係者や日本語学校の生徒など約150人が参加。原爆の投下された午前11時には、参加者らが記念碑を囲んで手を取りあい、原爆の犠牲者に黙祷を捧げた。
来賓として同市のエスタジオ・アルベス・ペレイラ・フィリョ副市長やブラジル被爆者平和協会の盆小原国彦副会長、ブラジル長崎県人会の栗崎邦彦会長ら各氏が訪れた。
エスタジオ副市長は「世界中で戦争の緊張感が増している。サントスから世界へ平和への思いを発信することに深い意義を感じる」と話し、関谷会長は「若い人たちへ核兵器の恐ろしさを知ってもらう為に活動していきたい」と挨拶した。
栗崎会長は「サントス市の取り組みはとても有難い。原爆の悲惨さを忘れないよう伝えていきたい」と述べ、盆小原副会長も同市に感謝を述べた後、「若い世代に広島、長崎の悲劇を伝えていかなければ」と訴えた。
『核兵器廃絶運動の日』の制定、同式典開催提案者の中井貞夫市会議長は、「ブラジルは戦争経験が少なく、若者は原爆の悲惨さを知らない。核兵器廃絶は全世界が関心を持って進めていく必要がある」とのべた。
式典では生長の家のコーラス隊や同市日本語学校の生徒が歌を披露し、サントス厚生ホームの安次富ジョルジ委員長(72、二世)が剣舞を行った。ブラジル健康表現体操協会員らは、長崎名物の皿踊りと健康体操を披露した。
同市日本語学校生徒のブルーノ・エイゾさん(29、四世)は、「若い人たちは当時を知らない。式典は知る良い機会だ」と式典の意義を再確認し、ハファエル・マルチンスさん(21)も、「長崎のことは歴史の授業で知っていたけど、式典に参加するまで忘れていた。二度と起こらないようにしなければと強く感じた」との感想を語った。
式典後には、サントス日本人会館で被爆体験を描いた長編アニメーション『NAGASAKI1945 アンゼラスの鐘』の上映会が行われ地元住民ら40人が観賞した。