ニッケイ新聞 2011年2月8日付け
地理統計院(IBGE)の発表によると、就学年数11年以上の労働者は2002〜2010年で59・8%増えたと5日付エスタード紙が報じた。就学年数が1年未満の労働者は35・9%減少しており、新規採用者に対する現場からの要求基準は、年々高まってきているようだ。
就学年数11年以上という言い方は高卒以上と言い換えられるが、10年12月の時点でこの範疇に属する労働者は1351万5千人。この数字は02年12月比59・8%増、前年同月と比べても8%増えている。
一方、就学年数1年未満の労働者は、10年12月の時点で35万2千人で、8年前より35・9%減った。前年同月比でも10%減だ。
IBGEでは、高卒以上の労働者は他の範疇の労働者以上に増えており、採用時にある程度の学歴を要求する職種が増えているという。
この変化は、基礎教育の普及、エンシーノ・メディオと呼ばれる高校課程や大学、専門学校への進学者の増加を反映したものでもあるが、それ以上に大きいのはブラジルの経済発展に伴う市場の要求の高まりだ。
スウアメリカ・インヴェスティメントス社のニュートン・ローザ氏によると、低学歴でも雇用の可能性が高いのは建設部門だが、それ以外の部門では、様々な新技術の導入ともあいまって、より高い能力を有する労働者を希望する傾向が強まっているという。
より高学歴な人を求める傾向は正式雇用の拡大と軌を一にしており、高学歴者ほど、高収入で安定した職場に就く事が出来、様々な融資の利用にも有利だという。
ただ、労働者の学歴向上に伴う所得や購買力の向上は手放しで喜べる状況ばかりではない。
確かに、学力や技術力に長けた労働者増加は、昨年の工業生産は過去24年間で最高の伸びという3日付伯字紙のような成長を支える要因だが、その工業生産は、国内需要の高まりとレアル高に伴う輸入増などで国際競争力が低下し、成長が鈍り始めている上、消費加熱でインフレ圧力も高まっている。
また、技術の進歩や法改正が頻繁に起きるという国内事情もあり、知識の更新や学び続ける努力も必要だ。10年前ミナス州からサンパウロ市に移り、現在は管理部門助手を務めるジョゼ・カルロス・オリヴェイラさん(33)は、人事関係の知識を学ぶため、2年前から、大学で朝5時半〜8時半の講義を受けてから出勤という生活をしている。
昨年の場合、急速な経済回復で人手が足りず、低学歴者の就労率もやや回復したというが、金融危機時は、競争力向上のため高学歴で経験が豊かな人材が求められた。状況変化で慌てないためにも、自分に投資すべき社会になってきたようだ。