ニッケイ新聞 2011年2月8日付け
殺人事件解決率は国内最高の52%を誇るブラジリアの連邦警察にも〃アキレス腱〃(致命的な弱点)があると7日付エスタード紙が報じた。
1カ月前に連邦直轄区保安局長に就任したダニエウ・ロレンズ元連邦警察警部によれば、その弱点とは、政治家を徹底的に捜査しないという文化があること。汚職で断罪され、牢に入れられたままの政治家は1人たりともいないという。
新保安局長は「不処罰の時代は終わった」とし、「これからは、より良い作戦と確実な証拠を手に、汚職を徹底的に追及する」と宣言した。
同局長は、ブラジリアでの汚職は予想以上に広範なもので、連邦警察の〃パンドラの箱〃作戦を挫折させるに足るとの情報があるという。同作戦で連警が摘発した〃DEM党メンサロン〃と呼ばれる汚職事件では、2010年のジョゼ・ロベルト・アルーダ元知事逮捕など、連邦直轄区議会議員やその秘書ら約30人を汚職容疑で摘発したものの、容疑者は皆釈放されており、いまだに断罪には至っていない。
「どうやってこの文化を変えるのか?」というエスタード紙インタビューに、ロレンズ氏は「就任時、私は部下の警察官たちに『連邦警察が〃パンドラの箱〃作戦を実行できるなら、なぜ君たちも実行しない?』と言って挑発した。初めは彼らも驚いていたが、今では6つの作戦が進行し始めている。もうすぐいくつかの重要な発表がある。連邦直轄区の警察は、不処罰と調査不足のせいで増えてきた汚職をしっかり取り締まっていくつもりだ」と答えた。