ニッケイ新聞 2011年2月10日付け
4日にブラジル北東部で大停電が起き、注目を集めていた矢先、パウリスタ配電会社(Cteep)内の欠陥により、8日午後、サンパウロ市でも南部中心に停電が起き、影響は250万人に及んだと9日付伯字紙が報じた。
被害が出たのは、ブリガデイロ大通りや13・デ・マイオ大通りなどのパウリスタ地区、南部のヴィラ・オリンピアやイタイン・ビビ区、西部のヴィラ・レオポウジーナやペルジゼス、ピニェイロス区などで、グアルーリョス市の一部を含む62万7千世帯の民家や商店、工場への電力供給が断たれた。
15時11分に起きた停電は、バンデイランテス変電所にある三つの変圧器の内、一つの高電圧回路で起きた異常が原因で、防御システムが作動したため他の二つも運転を停止。電力供給は故障していない二つを使って再開され、同34分には回復したが、16時40〜46分に再び停電。公式発表では合計30分の配電停止というが、実際には2時間近く停電した所もあった上、電気製品が壊れ、商工業活動も一時停止するなどの被害も報告されている。
今年は従来以上に停電頻発の事態を重く見たアウキミンサンパウロ州知事は、Cteepやエレトロパウロに対し、早急な原因解明を求めている。
また、4日に起きた5時間にも及ぶ北東伯8州での広域停電の原因解明のため7日に開かれた会議の後、鉱山動力大臣から説明を受けたジウマ大統領は、説明に〃不満足〃の意を表明した。
同省のマルシオ・ジンメルマン局長によると、停電の原因はルイス・ゴンザーガ変電所の防御電子カードが引き起こしたものだというが、その説明に納得できないジウマ大統領は8日朝、鉱動大臣始め、電力分野のすべての役員に、より詳細な説明を要求した。
一方、9日付フォーリャ紙によると、近年は広域停電の発生が増えているが、ジウマ大統領は電力関連公社の重要ポジションに労働党(PT)関係者を配する方針を維持する意向だ。
ルーラ政権当初からエレトロブラスやその関連会社の運営、技術部門理事などの幹部に任ぜられたPT関係者は、新政権でもそのまま留任。電力分野の金の動きと実権はPTが掌握する体制が維持されている。
経済成長や地球温暖化と共に電力消費も増える中での停電頻発に、2014年のワールドカップや2016年のリオ・オリンピックを万全の体制で迎えられるかを心配する声も聞こえている。