ニッケイ新聞 2011年2月12日付け
貨物輸送に使うトラックなどに使われるディーゼル燃料は、2009年にブラジルの交通機関が排出した二酸化炭素(CO2)量の53%を占める主要環境汚染源と11日付エスタード紙が報じた。ガソリンは約半分の26%を排出している。
二酸化炭素は、地球温暖化の最大の原因とされる温室効果ガスの一つ。石油由来のディーゼル燃料による二酸化炭素排出量は今後も大きく変わらないと見られ、2020年も交通機関の二酸化炭素排出量の49%を占めると予測されている。
国内初の調査にも参加した専門家は、このような状況を変えるには乗用車の燃料をガソリンからアルコールに転換するだけでは不十分だという。「(温室効果ガスを排出するが、サトウキビの生長過程で二酸化炭素を吸収するため被害が少ないアルコールへの)変更は重要だがそれだけでは問題解決には繋がらない」と環境エネルギー研究所のアンドレ・フェレイラ所長は述べている。
また、ブラジルで使っているディーゼル燃料は硫黄濃度が高いため、国民の健康に非常に有害であることも問題になっている。2009年から高品質で低公害のディーゼル燃料が導入されるはずだったが延期された。
ディーゼルエンジンの長所は、低精製の燃料でも効果的に燃焼させることができるため作動ガスの比熱比が高く、熱効率が高いこと。このため、乗用車にはガソリンやアルコールを使っても、大型車はディーゼルを使用することが多い。ブラジルは陸運への依存率が58%と際立つが、船舶や鉄道などの大型機関もディーゼルエンジンを利用したものが多く、大量長距離輸送はディーゼルの独壇場になっている。