ホーム | 日系社会ニュース | CKC=日本輸出ビジネスも視野に=南米日系組合の連携強化会議=首相来伯で人材交流促進へ
事業説明に耳を傾ける参加者
事業説明に耳を傾ける参加者

CKC=日本輸出ビジネスも視野に=南米日系組合の連携強化会議=首相来伯で人材交流促進へ

 中央開発株式会社(CKC、東京都新宿区)はサンパウロ市レプブリカ区のサンパウロ州農業連盟(FAESP)で12日、『第1回日系農業者団体連携強化会議』を行なった。ブラジル、アルゼンチン、パラグアイ、ボリビアから日系農家、日本から農水省国際部の石倉智美さん、在聖総領事館から遠藤諭副領事、文協農業委員会の桂川富夫委員長ら約50人が参加し、今年度における交流事業の方針を確認した。
 会合に先立ちFAESPのファビオ・メイレレス会長があいさつに立ち、「ブラジル農業界にとって日系人の貢献は大きい」と称賛し、今事業での日系農家と母国の親睦強化を期待した。農水省の石倉さんも、「10年ぶりの首相来伯が実現し人材交流の重要性、拡充を決めたところ。移住の歴史をふまえた交流を維持、強化させたい」とあいさつした。
 農水省が高度な輸出環境を整備するため、国内で推進する『グローバル・フード・バリューチェーン(GFVC)戦略事業』についての説明も行い、生産・加工・流通・消費に関わる産学官が一体となることで、お互いの付加価値を高めようとする取り組みを紹介した。
 国境を越えた市場展開をする上で、「各地区に合った需要と日本産業界の長所をすり合わせたい」とし、中南米地区には健康食品や養殖水産物を輸出例に挙げた。現地との情報共有を必須としており、日系関係者との連携強化も求めた。
 その後の意見交換では、コパセントロ農業協同組合の城田ジョゼさんが、「日本のとうもろこしの輸入元は米国が多いが、それらの多くはブラジル産。米経由ではなく直接流通を確立できないか」との希望を述べた。またイビウナ農協の立花マウリシオ会長は、「傾斜農地も多く大型機では作業不可能。私たちは小型農機を必要としている」と訴え、「日本・中南米間だけではなく組合同士の連携強化を図らねば。それが日本へ輸出する土台となる」と語った。
 また農協間の連携活動報告や、CKCが今年度の事業説明を行い、4月に飲食展示会「FOODEX」に参加したSANJO(サンジョアキン農業協同組合)からは、「市場開拓の第一歩が踏み出せた」と前向きな報告があった。
 連携会議を終えボリビアから参加した仲松久臣さん(37、二世)と近藤理恵さん(52、東京)は、「加工技術に乏しいボリビア。日本とのつながりを強化する前に、今年度の事業では他国から技術を吸収できるような取り組みを望む」と話した。
 農水省唯一の日系人関連事業とあって、「現地の日系農家と直接意見交換を行なえる貴重な機会だった」と振り返る石倉さんは、「今事業は日系農家の支援を目的に開始した。大幅な市場拡大が見込まれる今後は、連携・交流だけでなくビジネス化への下地を作る取り組みへ変化していくのでは」と展望した。
 これは中央開発が今年も同農水省の『平成26年度中南米日系農業者連携交流委託事業』受託を決め、その一環として行われた。