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リタリナの利用者急増=消費量10年で8倍以上に

 注意欠陥多動性障害(ADHD)の治療薬として使われるメチルフェニデートの利用者がブラジルでも急増し、10年間の使用量は775%も増えた。
 メチルフェニデートはリタリナ(Ritalina、日本での名称はリタリン)の名前で知られる中枢神経刺激薬で、世界で最も一般的に認められているADHDの治療薬だ。ブラジルでも利用者の中心はADHDと診断された子供や青年だという。
 ブラジルでのリタリナの輸入量や生産量は、2003~2012年の10年間に、122キロから578キロに373%増えた。国内でも簡単に入手出来るようになった事と、ADHDがより広く認知されるようになった事などで、使用量は94キロから823キロに急増した。2010年には210万箱だったリタリナの販売量は、2013年には260万箱になったという。
 専門家はリタリナの使用量の増加はADHDと診断される患者と治療を受ける人が増えた事が最大の原因と見ているが、充分な検証もせずADHDと診断される例や、ADHDとは無縁の大人もリタリナを利用する例があると警告している。
 ADHDではないのにリタリナを利用する人は公務員の採用試験や入学試験の受験者や医学部の学生などが多く、リタリナが衝撃的行動やそのような行動に移りやすくなる傾向を軽減し、学校生活やその他の作業にも集中出来るようにする事を利用して、集中力を高めたり成績を上げたりするための利用が大半だ。
 ただ、リタリナには不眠傾向や食欲低下、不安増大、神経過敏、消化管症状、目のかすみ、肝機能障害、中止時の悪性症候群などの副作用がある他、米国では、子供に対するリタリナの処方は行き過ぎており、健康な子供の創造性や知性を奪っているとの批判もあり、本来の目的を外れた薬の使用は欧米における保健医療の問題点の一つとなっている。
 リタリナの使用が奏効した例は、ロベルタ・パルド・メンデスさん(44)の子供で双子のムリーロ君とソフィアちゃん(12)だ。6歳で学校に行き始めたムリーロ君は、教師が本などを読んでいる間も教室を走り回るし、遊んでいる時もじっとしていないと注意された。ソフィアちゃんも翌年、同じような注意を受けたという。
 ロベルタさんは、二人とも投薬によって落ち着きが出た事で読み書きを覚え始め、ADHD故に陥る可能性のある危険からも守られたという。この二人はクリニカス病院の専門医のオリエンテーションを受けながら薬を使い、効果が出た例だ。
 2008年に不安感と集中力のなさ故にADHDと診断されたフェリッピさん(33、仮名)の場合は、安易な診断とケアの不足によってリタリナの依存症となり、通常の4倍の量をのむまでになって、入院治療を受けた。現在はADHDではない事が判明し、ウツ病と不安恐怖症の治療を受けており、患者の訴えをきちんと分析せずに処方箋を出す医師もいると注意を呼びかけている。(11日付エスタード紙より)