ニッケイ新聞 2011年2月22日付け
子供達が授業後や休暇中に参加できるプログラムを提供し、社会問題発生も防ごう—。スポーツ省の社会プログラム〃セグンド・テンポ〃実行者として契約を交わし、同省予算も受け取っていながら、現実には場所すら確保しておらず、活動は皆無という団体ありと20、21日付エスタード紙が報じた。
ルーラ政権初期に創設された〃セグンド・テンポ〃は、半日で授業が終わる子供達が、残った時間をスポーツを楽しみながら過ごせるようにと考案されたプログラム。スポーツを通じての教育面と共に、麻薬その他の社会問題回避への配慮も込めた計画だ。
プログラムの統括役はスポーツ省で、同省と契約を交わした非営利団体は、会場や資材、食事などを整え、プログラムを各地域に定着させる事を要求される。しかし、オルランド・シウヴァ大臣所属のブラジル共産党(PCdoB)所属議員らが指揮する非営利団体が、契約に基づいた予算を受け取りながら、実質的な活動もせず、契約に明記された条件も満たしていないと報告されている。
具体的な団体名としてはピアウイ州民組織連合(Famepi)やボーラ・プラ・フレンテの名前が挙げられており、420万レアルを受け取りながら活動の実態なしとされたFamepiの場合、同州テレジーナなどに126本部を開設し、1万2千人の子供達を預かっているはず。
ところが、テレジーナの本部は、プログラム参加を示すロゴマークなどは使っていても、参加者にはシャツとズボン1組が渡されただけで、運動靴やサッカー靴を持たない子供達ははだしでボールを蹴っている。
ピアウイ州カンポ・マイオールでも、四つあるはずの本部の二つは実在せず、残る一つも、バールの奥にロゴマーク入りの場所があるものの、天井は落ち、出される食事もビスケットだけ。
サンパウロ州内陸部コルデイロポリスでプログラムを担当するボーラ・プラ・フレンテは、04年以降、連邦予算から2800万レアルを受け取り、今年も年末までに1300万レアルの契約を締結。一方、プログラム導入費用として昨年9万レアルを請求された市役所は、契約内容を不服として更新を拒否。昨年11万レアルを払ったオウリーニョスでも事情は同じだ。
同様の事態は連邦直轄区、サンタカタリーナ州やゴイアス州などでも起きており、参加登録後に新しい靴も買ってもらったのに、いつまで経ってもプログラムは始まらないなどの苦情が寄せられており、実態がないまま選挙戦の宣伝に使われた本部もあるという。
スポーツ相はPCdoBと非営利団体の癒着を否定し、活動は各団体の責任としているが、契約先の団体は入札も無く決まっており、様々な疑惑が広がっていきそうだ。