ニッケイ新聞 2011年2月26日付け
世界有数の石油輸出国リビアの政変で、同国石油の8割を購入している欧州などで原油価格が高騰した事などを受け、米国がブラジルからの石油輸入を望んでいると25日付伯字紙が報じた。
リビア政変による石油供給量減少で原油価格が1バレル120ドル近くに跳ね上がった24日、石油輸出国機構(OPEC)に属するサウジ・アラビアが自国石油の増産発言をし、欧州市場も落着きを取り戻したが、それが気に入らないのはベネズエラとイラン。
価格が不安定な今はOPECが増産する時期ではないとする両国は、他の加盟国の決断を批判しており、OPEC内は分裂状態になっている。
エジプトやリビアなどで続く政変は、世界的な石油不安を呼び起こしたが、この事態を重く見る国の一つである米国は、ワシントンを訪問中だったアントニオ・パトリオッタブラジル外相に、ブラジル産石油に関心があるとの意思表示を行った。
現在、米国に原油を供給しているのは政情不安を抱えるベネズエラや中東諸国で、政変による原油価格の変動を避けるためにも、政情が安定しているブラジルからの供給増を考えているようだ。
対米輸出の伸び悩みが頭痛の種であるブラジルにとっては嬉しい関心提示だが、現在のブラジルは、石油精製能力の限界という問題にも直面している。
昨年以降、ブラジルでは、世界的なサトウキビ減産でアルコール生産より砂糖生産に比重が掛かった事などで、アルコール価格が上昇。車両の増加も重なり、ガソリンの需要が増えたため、中期展望として、ガソリン輸入が必要となる見込みだ。国際的な原油価格高騰の中だが、関係筋は、ペトロブラスが吸収策を採り、ガソリン価格の大幅上昇を回避すると見ている。