ニッケイ新聞 2011年3月1日付け
法務省が2月24日に発表した統計によると、2008年のブラジルの交通事故死は3万9211人で、1998年の3万994人から26・5%増えたと同25日付エスタード紙が報じた。08年の場合、1日107・1人が交通事故で死亡し、内24・3人が青年。近年はバイク絡みの事故が急増している事も、交通事故の犠牲者増加に繋がっているようだ。
法務省統計によれば、98年と08年では交通事故死者が26・5%増加という数字は全体平均で、15〜24歳の青年層の死者は32・4%、20代だけを取り出した場合は、43・7%も増えている。
ブラジル全体で見た場合、青年層の交通事故死は死因の19・3%だが、交通事故発生率の高いサンパウロ州では、青年層の殺人事件被害者が24・4%に減ったのに対し、交通事故による死者が26・7%に増え、若者の命を脅かすのは凶器より車やバイクという実態が明らかにされた。
同様の傾向はロライマやトカンチンス、ピアウイ、サンタカタリーナでも報告されており、青年層の交通事故死は、他の層の死者より31%も多いという。交通事故死が最も多いのは日曜日。以下、土曜日、月曜日と続いている。
州都別に見て青年が交通事故で命を失う可能性が最も高いのはサンパウロ市で、犠牲者の63・8%が青年。サンタカタリーナも57・2%と青年の占める割合が高い。
また、近年のバイク絡みの事故増加を如実に表すのが、09年8月〜10年7月のサンパウロ市での統計を報じた2月26日付フォーリャ紙の記事。1年間のバイク絡みの事故の死者は603人で、内399人はバイク運転手。これに対し、139人は歩行者で、3日に1人がバイクに撥ねられて死亡した事になる。
バイクによる人身事故の多くは、渋滞して車が動けなくなった道路を横切ろうとした歩行者が、車の間を抜けて走ってきたバイクに撥ねられるなど、横断歩道以外の所で起きており、専門家は、車の間を走るという不法運転と、横断歩道以外の場所を渡ろうとする歩行者側の問題、横断歩道をきちんと設けない行政の手落ちなど、三者三様の責任不履行がバイクの事故被害者増加の原因と分析している。
一方、サンパウロ州道での交通事故被害者を見ると、全伯一整備された高速道とされるバンデイランテス道で、09年から10年の死者が40人から59人に47・5%増と26日付エスタード紙が報じた。ここでもバイクによる事故の死者は6人から16人に166%増え、道路を横断中の人が跳ねられたケースは20%増。州道全体では死者の5人に1人は高速道を横断中に撥ねられており、帰宅を急ぐ人が増え、視界も落ちる18〜19時が最も危険だという。