ニッケイ新聞 2011年3月10日付け
ブラジル宮崎県人会(谷広海会長)が主催した〃移住史テスト〃の表彰式が2月25日にリベルダーデの東洋会館で開催され約50人が出席した。
同テストは、『宮崎県南米移住史』のポ語訳版から出題されその内容理解を競うもの。1月19日に実施され、66人の申込みで19人が参加し、非日系人のルーベンス・ミランダさん(19)が50点満点中44点を獲得し見事優勝した。
表彰式には黒木前会長、吉加江ネルソン名誉会長、審査員らが出席。黒木前会長はあいさつで関係者へ感謝の気持ちを表し、「皆さん良い成績を取ってくれた」と喜びの表情で語った。続いて、1位のルーベンスさんにカナダ航空から日本往復切符、2位の山添源二さんにブエノス・アイレスの旅、3位の豊田瑠美さんにカンポス・ド・ジョルドン旅行、他の入賞者に賞状等が贈られた。
審査員のエリアス・アンツーネ元リオ連邦大学教授は、移民の歴史を幅広く説明した記念史の読書を広く振興する事がコンテストの主旨で、非日系人が1位になった事は「その狙い通り」であったと述べた。
日本語検定1級を持つ日本好きのルーベンスさんは、USPの国際関係学部を目指して勉強に励む傍ら、カンピーナス文協の日語学校に通う。
優勝の一報が届いた時は、体を震わせ、泣いて喜んだ。4歳の頃、幼稚園で日系人の友達ができ「地球の反対側、日本はどんな国かな」と強い好奇心を覚えた。それから15年、ついに訪日の夢が叶う。
400ページにもなる記念史の中から人名、日付などを問う細かい出題も多かったが、「難しかったけど、4回も通して読んだから大丈夫だった」と笑顔で話す。
コンテストを通じての学びも大きく「興味あった日本移民の話もブラジルの教科書では少ししか書かれていなかった。記念史を読んで日本人は希望を胸にブラジルに渡ったことが分かった」という。
3位の豊田瑠美さんは愛知県人会の会長。「県人会の面白い取り組みとして応援の意味をこめて出場した」そうだ。記念史を読み進める中で、「オーストラリアの真珠取り、メキシコの鉱山で働いた日本人などブラジル以外の移民について知らないことばかりだった」と興味を持って読むことができたと話していた。
終了後は黒木会長が、同会で出版した800ページにおよぶ県人名簿の紹介と退任のあいさつを行った。
1期2年の任期中に同会創立60周年式典で東国原英夫知事を歓迎、その答礼者を派遣し、母県の口蹄疫問題では義捐金を送るなど会活動に尽力した黒木会長。任期を振り返り、関係者への感謝の気持ちを語った。