ニッケイ新聞 2011年3月17日付け
東日本大震災の被害に対し、ブラジル各地で次々と日系団体による義捐金募集が始まっている。支援の動きはブラジルだけでなく南北アメリカ各国の日系社会でも始まり、広がりつつある。
共同通信によれば、日系人が多く住む米国ハワイ州や西海岸で支援の動きが本格化。ハワイでは14日、官民一体で被災者を助ける運動「プロジェクト・アロハ・フォー・ジャパン」を開始すると決定した。
ロサンゼルスのリトルトーキョーでも募金活動を開始。NHKによれば募金を始めたのは同地で治安の確保に取組むNPOの防犯協会で、14日からリトルトーキョーにある事務所に募金箱が設けられた。
募金に訪れたアメリカ人の男性は「募金しなければと思い、ここに来ました。日本は困難なときですが、必ず乗り越え、復興できると信じています」とコメント。日系三世で、防犯協会のブライアン・キトウ会長は「私たち日系人は、できることがあれば、何でも手助けしたいと思っていることを知ってほしい」と話す。同防犯協会ではロスにある他の日系人団体にも募金を呼びかけ、米国の赤十字社を通じて日本へ送る。地元の赤十字も募金活動を行っているという。
「Tokyo MX NEWS」は、ニューヨークで日系人が買い物に訪れるダウンタウンのスーパーマーケットで募金箱を設置した様子などを報じている。
カナダでも支援の動きが広がっている。
「バンクーバー経済新聞」サイトによれば、西部バンクーバーで12日、被災者支援のため日系ビジネス、芸術、文化、学生の団体を代表する35団体、約50人が「隣組」(Japanese Community Volunteers Association)に集まり、「B.C.-Japan Earthquake Relief Fund(BC州日本地震救済基金)」を設立した。
同基金の設立運動はバンクーバーの日本人学生たちの自発的な行動によって始まり、設立が決まった後もレストラン、企業、ホテルなどが募金箱の設置などに賛同し、協力を申し出ているという。同団体は今後、募金活動に加え、地域内にいる芸術家、音楽家、パフォーマーたちによる大規模なチャリティー・コンサートも計画しているという。
カナダでは東部トロントやモントリオールなどでも義捐金を募る活動が行われている。
ブラジルに次ぐ約8万人の日系人が日本に住むペルーでも、日本総領事館や日系人協会に支援の申し入れが相次いでいる。共同通信によれば、同協会のペドロ・アリトミ国際部長は「被災地のひどい状況を見ていると、協力できることは全部やらなければならないと思う」と話す。
被災地は寒い上に暖房もままならないと伝えられていることから、寄付金に加えてペルー特産の毛布を送ることなどを検討。17、18の両日には首都リマなどで犠牲者を追悼するミサを行う予定だ。