ニッケイ新聞 2011年3月23日付け
外国旅行で米ドルを使おうとしたブラジルの観光客が、古い紙幣であるために、支払い時に使い物にならず、各種の請求やホテル代を払えないケースが増えている。
14日付エスタード紙によれば、ヨーロッパや中東諸国などでは、1996年以降の100ドル紙幣のみを受け入れる店が多く、それ以前発行の100ドル紙幣を受け入れる場合も、10〜20%割り引かれることが多いという。
米国政府により毎年新しい紙幣が市場に入れられることにより、2001年や2003年発行の100ドル紙幣など、いくつかの古い紙幣では偽造問題が頻発していることが原因だ。いくつかの国では1980年以前の紙幣は確実に拒否されている。
米100ドル紙幣のいくつかが、様々な国の商店やホテル、タクシーや両替所などで使えなかったり、原価より10〜20%低い値で割り引かれていることについて、パウリスタ銀行両替窓口のホジェリオ・シルヴァ氏は、2010年の南アフリカW杯では、こういった古い紙幣が受け入れられなかったという報告がいくつも出ていると述べている。
紙幣が新しいほど、より簡単に市場で受け入れられている。最も受け入れが簡単なのは、1996年以降発行のもので、ベンジャミン・フランクリンの大きな絵が印刷されている。ヨーロッパやアジア、中東、チリではこの年以降のものしか受け入れられていない。
しかし、アメリカ国内では1996年以前に発行された紙幣も新しいものと同じように使われているため、ブラジルでは、いくつもの両替所でこういった古い紙幣が売られている。
教師の上原エイコさんは古い紙幣の犠牲者の1人で、ロシアとデンマークで1988年の紙幣が受け付けてもらえず、どうしても現金が必要だったため、低い値での両替を受け入れるしかなかったと話している。
メルコスル加盟国を旅行する場合も、古い紙幣で問題が生じることがあるため、アルゼンチンやパラグアイ、ボリビアに行く時は1996年以降の紙幣を用意するか、レアルを持参し、現地で両替する方が無難だ。
まだ世界中で拒否されているわけではないが、外国旅行に出かける際や自宅にドルを貯金している人は、手持ちの紙幣が古いものでないかに注意を払う必要がある。