ニッケイ新聞 2011年3月23日付け
キューバのフィデル・カストロ前国家評議会議長が21日、オバマ米大統領が、ブラジル訪問時に安全保障理事会常任理事国入りに対して積極的な支援を約束しなかったと、同国報道機関を通じて批判したと同日付G1サイトが報じた。
ブラジルの安保理常任理事国入りは、ルーラ前政権が各国に積極的に働きかけたにもかかわらず、実現しなかった事柄の一つで、ジウマ大統領も19日の伯米首脳会談で取り上げた。これに対し、オバマ大統領は、理解を示したものの、昨年11月にインドに対して行ったような積極支援の約束はしていない。
オバマ大統領個人の発言は常任理事国入りの保証にはならないし、従来よりもブラジルの立場を尊重した応答がなされただけでも予想以上の成果だったとのブラジル側関係者の評価は20日付伯字紙も報じていたが、カストロ前議長には、オバマ大統領の態度は期待を裏切るものだったようだ。
「南米隋一の経済大国と持ち上げ、和解を求めておきながら、常任理事国入り支援に関しては、何の約束もしなかった」と批判したカストロ前議長は、米国とチリが原子力発電で合意を結んだ事についても、日本の地震の後、世界各国で原発反対の動きが高まるはずとした上、チリ国民がオバマ訪問に対して抗議デモを行ったのも当然との見解を表明した。
原発に関しては、米国自体でも新設計画の見直しなどがされている他、新たな計画凍結などの処置を発表した国も複数に上っている。