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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2011年3月23日付け

 東日本大震災の恐ろしいところは、地震から津波に派生し、畳みかけるように原発事故にまで拡大したことだ。原発事故には残念なことに「万が一」の可能性がまだ残っており、人災の感が強い。40年前の原発をそのまま稼動させていた判断の甘さ、危険性の高さを、日本国民はいま肌身で痛感している▼だがブラジルも人事ではない。リオ沿岸部のアングラ原発だけでなく、先ごろ米国と原子力協力協定を結んだ隣国チリには今後原発が建設される可能性があり、昨年2月同様の大地震・津波がそこを襲えば当然影響は当国にも出てくる▼災害対策は本来、最悪の事態を想定して立案するのが常道のはず。ロシア政府はいち早く「日本人を受け入れてもいい」と表明したが、「万が一」を想定した場合、ブラジルこそそのような態度を表明してもよい。86年のチェルノブイリ事故の後、同地のウクライナ人がパラナ州等に移住した〃実績〃もある。世界最大の日系社会があるブラジルが受け入れるのは一つの筋だ。もちろん、そうならないことを心底から祈っている▼日本の企業関係者と話すと「会社はどこかで儲けなくてはいけない。むしろこの地震によってさらに進出企業が増えるだろう」との見通しを述べていた。であれば日系政治家は日本からの法人(企業)の進出、個人の移住に関して手続きを簡素化するとか、特別枠を作るとかの働きかけをしたらどうか▼原発に替わるエネルギー源として、ブラジルから安価に原油やエタノールを提供することも選択肢の一つかもしれない。日本と相談しながら、各々の立場でできる復興協力を模索すべきだ。(深)