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聖・リオ両州で水紛争=南パライバ川への放水巡り=問題は大統領府で調整か

ジャグアリの水力発電所(Cesp公式サイトより)

ジャグアリの水力発電所(Cesp公式サイトより)

 カンタレイラ、アウト・チエテ両水系の水位低下が著しいサンパウロ州が、サンジョゼ・ドス・カンポスにあるジャグアリ水力発電所ダムの放水量を減らした事で発生したサンパウロ州とリオ州の水紛争が、国家機関も巻き込んだ三つ巴のものとなり、大統領府に持ち込まれる可能性もあると14日付エスタード紙が報じた。

 ジャグアリ発電所を管理するサンパウロ電力公社(Cesp)は現在、水量を毎秒10立方メートル(以下、立方M)に制限している。

 ジャグアリ川はリオ州やミナス州にまたがって流れる南バライバ川の支流の一つだ。放水量が減れば南バライバ川の流水量が減り、水や電力の供給が不足する事を懸念するリオ州が全国電力システム運営機構(ONS)に苦言を呈したため、ONSが1日に放水量を毎秒30立方Mに引き上げるよう通達を出した。

 ところが、Cespはサンパウロ州水資源・エネルギー局(DAEE)の方針に従い、サンタイザベル市への水の供給を確保するためという理由で放水量を10立方Mのまま維持しているため、12日には国家電力庁(Aneel)が乗り出し、放水量を30立方Mにするよう命じた上、従わなければ年収の2%までの罰金徴収の可能性も示唆した。また国家水資源庁(ANA)も、Cespは事前の通達もなく放水量を削減したとして、放水量は元に戻すべきとの意向を表明している。

 ジェラウド・アウキミンサンパウロ州知事は一連の動きに関し、水資源の枯渇時は日常生活の維持が最優先され、その次は家畜等の動物、更に余裕があればその他の目的のために水を使うという法令に基づいた判断と主張。マウロ・アクレサンパウロ州水資源・衛生局長も「リオ州民への水供給には南バライバ川と支流のグアンドゥ川から毎秒45立方Mの取水が必要だが、現在の流水量は112立方Mだから大丈夫だ。ただし、電力供給には影響が出る可能性がある」とし、放水量は維持する意向だ。

 サンパウロ州知事はジャグアリの貯水ダムの水をカンタレイラ水系に引く事も計画中で、リオ州やサンパウロ州では南バライバ水系内の市長らが水不足となる事を懸念していた。

 14日付エスタード紙によれば、今回の放水量削減後、リオ州バーラ・ド・ピライでは1日12時間の給水制限が始まるなど、既に1千万人以上に影響が出ているという。13日付伯字紙によれば、ANAも12日、放水量削減はサンパウロ州でもピンダモニャンガバやサンジョゼ・ドス・カンポスなど15市、リオ州でもレゼンデ、ポルト・レアルなど26市への給水に影響すると発表した。

 リオ州への影響は給水と発電量の低下の双方が懸念され、大統領府が調整に乗り出す可能性が強まっている。