ニッケイ新聞 2011年4月5日付け
ノロエステ連合定期総会の折に、東日本大震災に関する同沿線地区の声を聞いてみた。
第三地区世話役の本間重男さん(ほんま・しげお、79、北海道)は「本当に大変な災害だった。心が痛む。デザストレ(大災害)とはこのことだ。もし地震が起きたのが、夜で皆が寝入っていたら、もっと酷いことになっていたかもしれない。なんとかアジューダできないかと思っている」と眉を曇らす。
「あっちこっちの団体が義捐金集めに動いているが、最終的な窓口(口座)は統一したほうがいい」と釘を刺す。
パラナ州インテル・リオスというドイツ系移住地を視察した経験から、「ドイツから出て250年も経った彼らは、最初はユーゴスラビアなどに移住した。第2次大戦中にソ連から迫害されてスイスなどを経てブラジルに再移住して、今もまだ中学高校でドイツ語を習い、ドイツの大学に進学している」との例を出し、「我々日本人もこれ(大震災)を一つの機に、長期的な戦略を練り直してもいい」と提案した。
グアララペス文化協会の服部(はっとり)拓治副会長(73、秋田)は「僕はノルデステに30年間住んでいたので、地震の後、向こうのブラジル人の友人が僕の親戚に被害はないか心配して、たくさん電話をくれた」と同地での大きな反響を語った。
中上(なかがみ)ツヨシ同文協会長(70、二世)も、「宮城県名取市とグアララペス市は姉妹都市提携をしているので、グアララペスの市長が心配して我々に電話をしてきた。だから、すぐに我々から名取市長宛にお見舞いのメールを出した」という。
父親が福島県保原町出身のカフェランジア文化協会の熊坂好雄会長(くまさか・よしお、83、二世)も、「すぐに親戚に電話をしたが、通じたのでほっとした。以前訪日した時に仙台にもいった。テレビの映像を見ていると本当に胸が痛い」との心情をのべた。
また同文協で会計をする木本善春さん(よしはる、84、熊本)も「ブラジルからは手の差し出しようもないが、日本のみなさんには、頑張って欲しいと心から願います」とエールを送った。