ニッケイ新聞 2011年4月7日付け
東日本大震災への義捐金として、サンパウロ市在住の坂川オノフレさん(87、二世)が個人で6万レアルの寄付を行った。幼くして両親を亡くし、苦労を重ねてきた坂川さん。「誰かが見ていてくれたから今までやってこれた。自分にできることをさせてもらいたい」と気持ちを語っている。
坂川さんはイグアッペ郡の桂植民地生まれ。岡山、長野出身の父母は1914年に渡伯、22年に同植民地へ入植したが、坂川さんが4歳の時に母親、6歳の時に父親が亡くなった。父親はケガで身体が動かなくなっても働き、子供が路頭に迷わないよう親戚に預けてから亡くなったという。「父はいいことをしてくれたと思います」と坂川さんは話す。
3人兄弟はばらばらに親戚へ預けられ、坂川さんは叔父の家へ。28歳で叔父宅を出た後は、兄の下で鶏卵販売業を始め、やがて自身の会社を開き事業の基盤を築いてきた。その傍ら、長年カランジルー文協の会長も務める。両親と自身、家族の軌跡は自分史「望郷の桂植民地」(05年、日毎叢書)として出版。07年には同書第2版150冊のほか、1万レアルを百周年協会へ寄付している。
「今になって、いかに世間の人から助けられてきたか気づきます」という坂川さん。「全ての被災地のために使ってもらえたら」と寄付にあたって思いを語った。
6万レアルの小切手は5日に援協事務局に届けられた。同会の口座を通じて日本赤十字社へ送金される予定だ。