伝説の泉に塀設け隔離=住民と所有者とが対立=反対コンサート開催へ
ニッケイ新聞 2011年4月9日付け
3月28日に開業した地下鉄ブタンタン駅から1・5キロメートル離れた所にある3万9千平方メートルのケロゼニの丘が、その近所の住民と土地所有者の家族、はては市役所まで巻き込む問題の中心となっていると、6日付エスタード紙が報じた。
ケロゼニの丘には、内陸部へと向うバンデイランテス(開拓者達)が喉の渇きを潤すために使ったとされている歴史的な泉(水源)があるが、所有者が土地の入り口にたてた塀によって水源への通路が閉ざされた。
土地所有者のバジレ家によると、塀を作ったのは、泉が麻薬取引やゴミの不法投棄、車の違法解体などを行う場所となっており、所有者の彼らにいくつもの罰金が課せられたからだ。
しかし、住民らは、トラヴェッサ・ダ・フォンテと呼ばれ、泉に通じる85メートルほどの公道を塀がふさいでいると主張しており、塀の設置に反対している。
「塀はコミュニティ全体にとって重要な場所の放棄を意味している。あの伝説の泉から流れ出す水は、使われることもなく、直接排水口へ流れ込んでいる」とケロゼニの丘文化協会の音楽家、ジンニョ・ナシメントさんは述べている。
ナシメントさんによると、泉の水は、サンパウロ州水道局からも、良質で飲用に適しているとのお墨付きを得ているというが、土地相続者の一人、ロベルト・バジレさんは、「小さな管に流れ出る位の量しか出ていない。湧き水が純粋だったら商売にしている」と反論している。
ケロゼニの丘は、住民の要求により、ブンタンタン区役所が2004年に史跡に認定。水源はサンパウロ市歴史・文化・環境遺産保存審議会(Conpresp)によって文化保護特区(Zepec)に登録されており、審議会の許可なく景観を変えたりするような変更が禁じられた。
サンパウロ市役所は塀の設置は禁止事項にはあたらないとみているが、市の法務局は違法性を検討中だという。
史跡認定の事実を知らないロベルトさんには、ショッピングセンターやビル建設用地にとの声もかかっているが、公園や文化センターとして使うべきだと考えるコミュニティ側は、10日10時20分からのコンサートや『塀反対運動』を計画している。