ニッケイ新聞 2011年4月16日付け
【既報関連】11日から中国訪問中のジウマ大統領は、15日も海南省でのボアオ・アジアフォーラムに出席し、安定したブラジルをアピール。企業家らを前に、特別ゲストとして語る機会も得た大統領は、16日に中国を離れ、チェコ経由で帰伯する。
15日付各紙サイトによれば、BRICS諸国首脳と共にアジアフォーラムに出席したジウマ大統領は、経済的に安定した状態を保ちつつ成長し、開発のための積極的な政策も持っているブラジルを積極的にアピール。
今後5年間の優先課題は、社会格差の是正や大衆消費を国内成長の下支えとする事と発言した大統領は、貧困撲滅などに向けた取組として〃ミーニャ・カーザ、ミーミャ・ヴィダ〃や〃ルス・パラ・トードス〃などにも言及。前政権からの成果として、国民所得向上や投資・金融の拡大に伴う国内消費の伸びも紹介した大統領は、経済活性化計画(PAC)や14年のW杯、16年のリオ五輪など、投資のチャンスは数多いと企業家達に呼びかけた。
フォーラム後は、サンパウロ州オルトランジアに進出が決まっているZTE社を訪問して公式日程を全て終えたジウマ大統領は、16日に中国を出発。チェコのプラハを訪問して帰国となる。
アジアフォーラムは、アジアのダヴォスと呼ばれる経済会議で、各国首脳や経済の専門家、企業家も出席しており、アジアでのインフレ高進なども話題に上った。インフレは経済成長や国内で流通している通貨が回転している証拠でもあるが、一定レベルを超えれば、国や地域、世界の経済を狂わす要因ともなる。
中国訪問中、為替管理の問題と共に、自分の任期中に政策金利(Selic)引き下げもと意欲を見せたジウマ大統領だが、インフレ圧力の高まりは国際的な問題で、15、16日にワシントンで開かれるG20財相・中銀総裁会議と国際通貨機関(IMF)の会合でも、コモディティ価格の統制などが検討される事になっている。
経済の回復が遅れていた先進国もインフレに悩まされ始めている中、世界銀行が14日に発表した、コモディティ価格は1年間で36%上昇との数字は、コモディティ輸出国のブラジルには余りありがたくないものだ。
BRICS首脳会議でもコモディティ価格に関する立場が分かれた直後のG20、IMFの両会合では、マンテガ財相が価格統制反対の意向を表明する事になっている。
就任100日を超えてからの報道で、外交などの評価は高い一方、経済問題では批判も出ているジウマ大統領だが、就任後のPAC経費は予算の0・25%しか支出していない、削減しないと約束したはずの投資も削ったなどの声に対する誠実な対応も待たれている。