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先住民族保護区=50周年のシングー公園=周辺の森林伐採の影響及ぶ=圧迫され不安を抱える人々

ニッケイ新聞 2011年4月16日付け

 1961年に連邦政府が初めて先住民族(インディオ)のための土地として承認した地域「シングー・インディオ国立公園」は、設立から50年たった今も当初の状態に近いまま保護されているが、その周辺の地域では樹木の伐採により急激な森林破壊が進行していると、14日付フォーリャ紙が報じている。
 シングー・インディオ国立公園はブラジル中央部のパラー州とマット・グロッソ州にかかるアマゾン川支流、シングー川流域に位置する280万ヘクタール(日本国土の約半分)の地域で、1991年には正式にインディオ保護区として登録され、先住民の承認なしに開発をすすめることが禁止されている。
 このため、16部族、約6千人の先住民が暮らしている公園内そのものは、ほとんど荒らされることもなく50年が過ぎたが、法定アマゾンでの伐採最多43市の内、7市が隣接する周辺地域では、森林伐採が急速に進み、公園は『緑の孤島』となってきている。
 社会環境院(ISA)によると、2000〜2007年の間にマット・グロッソ州のシングー川流域では、アラゴアス州の面積(2万7767平方キロ)に匹敵する森林が伐採された。
 公園外の森林伐採地域では、約650万頭の家畜の飼育やマット・グロッソ州全体の生産量の30%以上を占める大豆の栽培が行われている。
 また、この地域は水力発電所の建設場所としても注目されており、州環境局によれば、ここ5年間で4つの小規模な水力発電所の建設が承認されたという。
 公園内には川はあってもその水源地が含まれていないため、周辺の環境変化の影響を直接・間接に受けている先住民たちは、未来が心配と述べている。
 例えば、「私達は周囲から圧迫され、恐れている」というイクペングエ族のカロトウィ・イクペングさん(39)は、「砂が増えて川底が上がって魚もいなくなったし、伐採のせいで猟も難しくなった」と毎日の生活の中でも変化を感じていると説明した。
 また、30歳以下の人が75%を占める公園内の学校校長のアワシ・カイアビさん(31)は、環境問題以外に、民族内の世代の対立という問題も起きているとし、「お年よりは先住民族の文化を維持したがっているが、若者は白人の文化を取り入れたがっている」と説明した。