ニッケイ新聞 2011年4月20日付け
ブラジル国境の町フォス・ド・イグアス市から友情の橋を渡り、パラグアイ国首都アスンシオンに向けて国際道路を走ると、41キロでイグアス移住地の中心部にたどり着く。パラグアイを代表する大豆生産地として知られているこの移住地は1961年に入植がはじまり、今年丁度50周年を迎えた。
11年はパラグアイ建国200周年、日本人入植75周年と節目の年が重なっており、現地の日本人会(福井一朗会長、二世)は日本経団連自然保護基金の助成を受けて、06年から「入植50周年に向けた植林活動と環境教育」と題し植林事業を展開してきた。
団体植林の実施、育苗場・展望台・遊歩道などの設備を完成させたが、新たに入植50周年記念事業として日本人会傘下の自然環境保護委員会(幸坂佳次委員長、ほか6人・事務局担当=澤村壱番)が農協・地域振興協会と連携して新プロジェクトに着手した。
それは三井物産環境基金より助成(3年間)を受け実施する「イグアス湖周辺の原生林再生」だ。イグアス湖は移住地の一部約1万7千ヘクタール。日本最大の琵琶湖の90%、湖面面積640平方キロメートルの大人造湖だ。湖岸と流域保護のためには植林は不可欠であり、過去に伐採してきた地域について植林を計画的に実施し、イグアス湖周辺にしか生息しない貴重な原生林を再生させ自然環境の保護と持続可能な農業環境を復活させるのが目標だ。
それに伴い3月10日から11日にかけて三井物産NY支社より、西村至さんがアルゼンチン支社より野村知宏さん、中島翠さんの3人が移住地の視察を行い、関係者とともに湖周辺に合同植林をし、事業の一環に参加した。環境保護最前線にいるイグアス移住地ならではのプロジェクトであり、緑の引力は更に高まり、今後の展開に注目が集まっているようだ。