ニッケイ新聞 2011年5月7日付け
最高裁判所が5日、同性愛者同士であっても、安定した状態で共同生活を送っている人々は家族と認め、一般夫婦と同じ権利を付与すべきだという判断を全員一致で下したと、6日付伯字紙が報じた。
検察庁判事時代の案件に関わっているために欠席中のディアス・トフォリ判事を除く10人の最高裁判事が、同性愛者達にも一般夫婦と同等の権利と義務を認めた事は、家庭観などを大きく変える歴史的判決だ。
男女間の結婚(婚姻)を基とする家庭は、憲法や婚姻法で認められた合法的なものだが、同性同士が家庭生活を営むという考えを認める事に抵抗や偏見を持つ人がまだ多い中での最高裁判断は、結婚に基づく伝統的な家庭と母子家庭に次ぐ、第3の家庭形態がある事を認めた事になる。
同性愛者のカップルは〃ウニオン・エスターヴェウ(安定した関係)〃に相当し、2010年国勢調査でも、同性愛者のカップルや二人を中心とする家庭は約6万世帯と報告されている。
これらの家庭は、従来なら単なる同居生活として扱われ、同性愛者の一人が保健プランに加入したり所得税の申告を行おうとしてももう一人を扶養家族として扱えない、養子として二人で育てた子供なのに、責任者として登録された人が死亡したので手放さなければならなくなるなどの不都合が生じていた。
今回の最高裁判断はリオ州と検察庁から出されていた訴えを扱う中で出されたもので、同性愛者同士という事で、通常の夫婦なら認められる権利が認められないのは、憲法に認められた平等の原則に反するというのが主な趣旨だ。
今回の判決で、同性愛者同士が家庭を営んでいる事を正式に認められれば、養子縁組も二人の名前で行われるなど、基本的な部分では一般夫婦と同じ権利と義務を認められるが、結婚という扱いにはならないなど、これからも詳細に関しての詰めと法的整備が必要。
同性愛者同士が家庭生活を営む場合の権利などについては、国会審議の場でも、抵抗や反発が強く、長年放置されてきた問題である一方、司法界では養子縁組問題などで具体的な審議がなされ、容認傾向が強まっていた。このような流れの中での最高裁判決は、司法と立法の関係など、複雑な問題も内包し、宗教関係者その他から抗議の声も挙がっているが、サンパウロ市パウリスタ大通りなどでは、少数派の権利が認められた事を喜ぶ人々が繰り出し、歴史的な判決を祝ったという。