ニッケイ新聞 2011年5月12日付け
2012年の市長選挙を前に、ブラジリアに参集した4千人超の市長達からの圧力に、ジウマ大統領が10日、全国の自治体が既に取組みを始めた事業に対し、国庫からの7億5千万レアルの払出しを約束。6月には人口5万人未満の自治体向けに衛生管理のための経済活性化計画(PAC)導入の意向も発表したと10、11日付アジェンシア・ブラジルや伯字紙が報じた。
インフレ抑制のため、総額500億レアルの支出削減を発表したジウマ政権が抱える問題の一つは、ルーラ前政権が約束しながら実際には払って来なかった事業経費の払出しだ。
未払い経費の中には市町村向けの事業支援なども含まれており、2007〜09年の市町村の事業計画中、連邦予算からの支出が決まっていながら、支払われてない金額は79億レアルに上る。
市長らが支払いを待ち望んでいる79億レアル分の事業には、既に取組みが始まっているものと始まっていないものが混じっているが、ジウマ政権は4月末、07〜09年に支払いが承認されていても4月30日までに取組みが始まっていない事業への国の支援取り消しを決定。09年度の事業については、6月30日までに開始すれば支援もありとしているが、支払い停止となる可能性がある事業費は最低12億4千万レアルという。
一方、市長達が連邦政府に要請を出しているのは、保健衛生関係予算の下限を設定する暫定令29号に関連する248億レアルも含む279億レアル。事業支援未払い額と社会福祉費の補助などは極一部しか含んでいないが、それでも、要請額全部の払出しの約束取り付けは困難なようだ。
というのは、10日にジウマ大統領が約束した支払い額は即時開放の5億2千万レアルと6月開放の2億3千万レアル。11日発表の保健省関係予算の払出し額増額分と合わせても要請額には到底及ばないからだ。
ジウマ大統領は、現政権の目標はインフレなき成長である事を再度強調し、インフレ抑制努力に対する理解を求めると共に、自治体向け支出審査の簡便化や、今週中に連邦貯蓄銀行総裁との会談などが実現するよう手配する事も約束した。
2009年に政府が教員の最低給与額を決めた事で負担が増えたなど、自治体側の不満も山積する中、10日付エスタード紙は議員立法分予算の払出しペースが上っているとも報道。市長達からの圧力と環境保護法改正案承認を急ぐための2要因が原因というが、国内総生産の35・53%に及ぶ重税の振分け方への疑問も噴出しそうだ。