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コラム オーリャ!

ニッケイ新聞 2011年5月12日付け

 同船者会の取材でサンミゲル・アルカンジョのコロニア・ピニャールを訪れた。来年で入植50周年を迎えるそうだ。
 福井県が開設に関わった、通称「福井村」。文協、農協会長などを務めた山下治さんも同県出身。「奥地へ行くつもりだった」が開設を知って入植し、半世紀になる。
 当初は桃栽培を行ったが、雨期の落果に悩まされた。やがてブドウの栽培が広がり、最盛期には9割を欧州へ輸出していたという。
 「山だった」土地を拓き、事業団や県の補助も受け会館や学校を作った。「窓もない」家から始め、「50年経って、皆落ち着いた」。土地に根ざしてきた人の言葉には深みがある。次の目標は高校校舎の建設。「式典で落成できたら」と山下さんは目を細める。
 ピニャールに限らない。自分が歩んだ歴史が移住地、町の歴史になる。そうした人たちにとっては節目の感慨もひとしおだろう。(ま)