後退始めるエタノール車=投資が足りずサトウキビ不足
ニッケイ新聞 2011年5月24日付け
新しいアルコール製造工場やサトウキビ栽培の増加などへの投資が足りないため、エタノール業界はバイオ燃料車の増加から来る需要を満たすのが困難になると、23日付エスタード紙が報じた。
2008年の世界金融危機から投資にブレーキがかかっていることにより、ブラジル産エタノールは成長が止まる可能性が出てきた。
エタノール業界では投資不足で大きなプロジェクトなどが予定されていない中、フレックス燃料車は2006年から毎年平均で35%増加しているため、サトウキビそのものが不足と予想されている。
サンパウロ州サトウキビ加工業者連合(Unica)によると、何らかの手を打たなければエタノールで走るフレックス燃料車の台数は徐々に減るという。エタノールで走るフレックス燃料車は2008/09農年の収穫期には市場の60%を占めていたが、2010/11農年の収穫期は45%まで後退。このまま続けば、2020/21農年には35%まで減ると予想されている。
Unicaは市場のフレックス燃料車の66%にエタノールを供給する目標だったが、原料が不足しており、今期の収穫量では目標に達するまで1億4300万トンのサトウキビが足りない状態。今後新しいプロジェクトが実行されなかった場合、この差は増える一方で、10年後には4億トンにも達すると見られている。
国家配給公社(Conab)によると、現農年のサトウキビ作付面積は4・8%増えたのみ。Unicaのマルコス・ジャンク会長によると、業界は今後10年間で約800億レアルの投資が必要だという。
機器の製造を行うDedini社のジョゼ・オリヴェリオ副社長によると、エタノール業界への投資が今年再開されたとしても、2013年まではサトウキビ不足は続くと述べている。