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W杯、五輪に向けて=観光省がセミナー開催=「飲食店で観光案内を」

ニッケイ新聞 2011年5月24日付け

 2014年のW杯、16年の五輪に向けて、飲食業界が観光客をより良く迎え入れようと準備を進めている。
 ブラジル観光省、ブラジル飲食協会(Associacao Brasileira de Bares e Restaurantes)共催による各種飲食店を対象にしたサービス、料理など総合的な質の向上を図るプロジェクト『ベン・ッレセベール・コッパ』(良い状態でW杯を迎える)が、昨年11月から行われ、各種セミナーが開かれている。
 旅行する際の食事は、基本的に外食。必然的に、観光客は飲食店には頻繁に足を運ぶことになるー。
 「飲食店は観光客に対し、気持ちの良いサービスや安全な食事だけでなく、現地の情報をも提供する場所になり得る」というのがプロジェクトの基本的な考え方だ。
 セミナーはW杯の開催地となるサンパウロ、リオ、サルバドール、マナウスなど12都市で開かれており、1500の店が登録、約5千人のスタッフがセミナーを受けたという。
 「管理者」「ウエイター」「料理人」3つのコースをそれぞれの担当者が履修すると、その飲食店に、公式の修了証明書が与えられ、観光サイトなどで紹介される仕組みだ。
 コースを履修した人が学んだ内容を同僚らに伝えることも勧めており、レストラン内での徹底ぶりを担当者がチェックする仕組みも。
 また、コース終了後も継続して学べるよう参加者とその店にはテキストやDVDが与えられる。外国人スタッフがいる場合も考え、英語とスペイン語版もあるようだ。
 授業では具体的に、実際に観光客が来店したときの対応の仕方をシミュレーションしたり、生徒がテーマ別にサンパウロ州の観光地の情報を調べて発表し、知識を共有する。
 「学ぶことがたくさんあった。同僚ともこれから共有したい」。今月にあった管理者向けコース(10日間)に参加したリベルダーデ区『らーめん和』の長谷川マリーザさんは、「内容も先生も素晴らしかった」と絶賛する。
 多くの外国人観光客が訪れる同店での日々で「少なくともサンパウロ市の観光スポットは精通している必要があると痛感している」とも。
 同区の日本料理『FUJI』の石坂ルシアーノさんも「様々な種類の飲食店の店主と知り合いになれるので情報交換の場として貴重」と参加の意義を笑顔で話していた。
 同セミナーに関する問い合わせは観光省の公式サイト(www.bemrecebercopa.com.br)まで。