ニッケイ新聞 2011年5月31日付け
初の同時受賞、夫婦で沖縄へー。琉球民謡保存会ブラジル支部(座嘉比昇支部長)主催の『第17回民謡大会』が21日、沖縄県人会館で開催された。各支部から出場した69人の演奏者の応援に200人以上の来場者が詰めかけた。大会初となる夫婦でのグランプリを勝ち取った仲本明男(67)、末子(60)夫妻は、7月に沖縄である大会に出場する。「ブラジル代表として地元沖縄に負けない演奏をしてきたい」と抱負を述べ、会場から拍手が送られた。
開会式では先亡者へ一分間の黙祷を捧げた後、座嘉比支部長はあいさつで、「本大会は沖縄で開催される『民謡の祭典』のブラジル代表を決める重要な大会。練習の成果を発揮してほしい」と話した。
各支部の教師・師範による「めでたい節」の合唱で幕を開けると、年齢、レベル別9つのカテゴリーに分けられた発表者が順番に演奏し、10人の審査員によって採点が行われた。
トップを務めた新人の比嘉シゲ子さん(67、一世)は、「昔は父が家で三線を弾いていたが興味がなかった。年を経るにつれて、その音色に郷愁を感じる」と民謡を始めたきっかけを語り、「とても緊張しました」と笑った。
10歳以下のちびっこの部では来場者が手拍子で温かく応援。琉球民謡独特の調子で歌われる「ふるさと」に目を閉じて聞き入る姿もあった。
14歳になる姪の応援に来場した瀬底正俊さん(76、2世)は、「応援する方も心構えがいるほど緊張する。早くグランプリに進んで〃祖国〃の土を踏んでほしい」とエールを送っていた。
コンクールの合間には上原節子流・具志堅シゲ子流両舞踊場による演技も披露され、来場者は静かに見入っていた。
全ての演奏が終わり受賞者の発表に移ると、各カテゴリーの優勝者にトロフィーが渡された。
グランプリ優秀者の発表で仲本夫妻の名前が呼ばれると、2人は嬉しさのあまり抱きしめ合っていた。来場者も立ち上がり、拍手で祝福した。
「多良間ションガネー」で自慢ののどを響かせた仲本明男さんは、「まだ信じられない。先生方のまじめな指導の賜物。ブラジル代表として地元沖縄の人に負けない演奏をしたい」と意気込んだ。
「下千鳥」を演奏曲に選んだ末子さんが民謡を始めたのは15年前。
「想像もできない結果。とても嬉しい。夫婦で頑張ってきます」と興奮した面持ちで語った。
コンクールの結果は次の通り。
【新人高齢者の部】親川節子【優秀高齢者】松茂良達子【最高高齢者】島袋金多【新人一般】大城カロリーナ【優秀一般】宮城美智子【最高一般】国吉隆治【グランプリ高齢者】仲本明男【一般グランプリ】仲本末子。(敬称略)