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ルーラ介入でジウマが躍起=連立与党の関係修復は?=PMDBは実権要求の圧力=パロッシ弱体化で強気に

ブラジル国内ニュース

ニッケイ新聞 2011年6月1日付け

 5月15日付フォーリャ紙がパロッシ官房長官の資産急増を報じて以来、ルーラ前大統領まで乗り出した官房長官温存の動きが続いた後、前任者登場で政権運営能力などを問われたジウマ大統領は、ミシェル・テメル副大統領や民主運動党(PMDB)などの連立与党との関係修復に奔走する事になりそうだ。

 ジウマ大統領所属の労働者党(PT)とテメル副大統領所属のPMDBとの間に軋みが出ている事は、24日下院での環境保護法改定案承認にも垣間見られ、連立与党間の亀裂修復は現政権が抱える急務の一つだ。
 環境保護法改定審議の前夜、パロッシ官房長官がテメル副大統領に電話をし、政府の意向にそぐわない内容の改定案と暫定令承認の場合、PMDB所属閣僚の罷免もあると脅した事や、声を荒げた両者が野卑な言葉まで飛び出す論争を行った事はブラジルメディアも報道。下院審議ではPMDB所属議員の多くが政府の意向に反して賛成票を投じた事で、正副大統領間やPT、PMDB間の緊張はいや増していた。
 環境保護法での政府の敗北はジウマ政権最初の汚点となったが、大統領にとってもう一つ頭の痛い問題となったのが、官房長官の擁護にルーラ前大統領まで乗り出してきた事。パロッシ氏を官房長官に推したのは前大統領だった事を考えれば当然ともいえるが、政権人事にも手を加えた方が良いと指示を出すなど、表舞台での前任者の言葉は、人事、運営面で烙印を押す行為とも取れる。
 これに反発するかのように大統領がPMDB関係者との会談などを矢継ぎ早に行う事は5月29日付エスタード紙などが掲載。28日にはテメル副大統領に電話し、PMDBをなだめる必要がある事も確認した。
 日延べが続いたウルグアイ訪問が実現した30日、ジウマ大統領は空軍基地で副大統領と短い対話の後、アマゾンでの農民殺害に端を発する緊急会議の責任を託した。31日は、副大統領との個別会談後に14年のW杯開催地の知事や市長達と会談し、1日はPMDB所属上議達と昼食。
 一方、テメル副大統領は30日夜、副大統領官邸で党所属上議との会合を開き、同党上議は官房長官にまつわる疑惑解明のための委員会設置要請書に署名しない事と、局長級人事などでもっと便宜を図ってもらうよう申し入れる事などで合意したようだ。
 テメル氏は30日、両党間のわだかまりは解消と発言したが、副大統領の肩書きはあっても正副大統領だけの会合はほぼ皆無など、PMDBを含む連立与党との連携努力にかけるジウマ大統領やPTのあり方がパロッシゲートを通じて改善されるか、政党間や官庁間の調整機能を十分果たせなくなった官房長官やルイス・セルジオ省庁調整局長官などをどう動かすかなど、現政権初の試練の行方が注目されている。