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漫画家殺害犯に無罪判決=統合失調症で責任能力無?=精神病院への強制入院命じる

ニッケイ新聞 2011年6月1日付け

 漫画家のグラウコ・ヴィラス・ボアス氏と息子のラオニ氏を殺害した罪に問われていた容疑者に対し、連邦司法が27日、責任能力欠如による無罪判決を下したと5月31日付フォーリャ紙が報じている。
 今回の判決は、連邦司法が5月上旬に連邦検察官によって提出された、カルロス・エドゥアルド・サンドフィウド・ヌネス容疑者(25)が統合失調症であるとした診断書を受け入れたことによるもの。実刑判決を免れたカルロス容疑者は、精神病院への強制入院を命じられた。
 グラウコ氏とラオニ氏は2010年3月12日に、家族と共に住んでいた大サンパウロ圏オザスコ市の農園内の自宅に侵入したカルロス容疑者によって射殺された。
 カルロス容疑者は、グラウコ氏が1990年代半ばに創立した『セウ・デ・マリア教会』によく出席しており、アヤワスカという植物を煮出して作られ、強力な幻覚作用をもたらすダイミ茶を服飲するサントダイミ教団の宗教儀式に頻繁に参加していた。
 彼は自分が預言者であると話しており、彼の使命は、自分の兄弟がイエス・キリストの生まれ変わりであることを世界に明らかにする事だと述べている。
 判決を下したマテウス・デ・フレイタス・カヴァウカンチ・コスタ連邦判事は、「幻覚誘発性物質の消費が統合失調症の遺伝的素因を誘発し、幻覚や神秘主義などに突き動かされた状態で、自分は宗教的使命を果たしていると信じている」と判決の説明をした。
 判決では、安全対策を十分講じた上、少なくとも3年間精神病院へ入院するよう命じられた。
 サントダイミ教団は、アクレ州が発祥の地とされており、ブラジルを始め、欧州各国で正式に宗教法人として活動しているカトリック系の宗教団体。国内では今のところダイミ茶の使用も法的には禁止されていない。アマゾンの奥地に信者だけの村があり、学校はもちろん、各種施設もあり、自給自足の集団生活をしているという。