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瑞泉郷で自然農法学ぶ=リ歩こう友の会が訪問=緑肥で生命力高める

ニッケイ新聞 2011年6月3日付け

 リベルダーデ歩こう友の会(高木ラウル会長)一行44人は28日、カステロ・ブランコ街道66・5キロ地点、マイリンキ市にあるサンパウロ瑞泉郷(ずいせんきょう)を訪問し、独特の自然農法の説明を受け、岡田式浄化療法などを体験した。

 サンパウロ瑞泉郷はMOAインターナショナルのブラジル支部が運営しており、誰でも来場し、体験することができる施設だ。同団体は世界救世教の教祖岡田茂吉氏が独自に考案した岡田式健康法を世界に広めるために設立されたが、宗教団体とはまったく別組織となっている。
 「瑞泉郷」の世界的中心拠点は静岡県伊豆の国市のそれだが、それ以外にアルゼンチン、メキシコ、米国ハワイ、同ロス、タイ、ポルトガルにもあり、日本以外ではブラジルが最大だという。
 事務長の月足泰章さん(つきあし・やすあき、37、福岡)によれば、地元マイリンキ市では職員である健康増進員30人が、この健康法を修得した浄化療法士になるための講座を今月から受講することになった。
 通常は火、木、土曜日に療院(健康施設)を開放しており、華道、茶道、浄化療法などの体験ができるが、電話予約(11・4246・2211、下山リナルドまで)が必要だ。
 9万8千平米の土地には健康センターの他に、自然農法が実際に見られる実証展示ほ場がある。農業指導者の富田(とみた)セルソさん(43、四世)は、イチゴ畑を前に「農薬を使わずに、通常の栽培方法よりも25%も収量を増やすことができる。しかも、無農薬だから2倍の値段で売れるから、十分に採算が取れます」と力説した。
 その秘訣は、独自に工夫した緑肥を投入して植物が本来持っている免疫力や抵抗力などの生命力を活性化し、病気にかかりにくく、虫がつきにくい体質に変えることだという。
 この緑肥やボカシ肥は、雑草や豆科、稲科などを生やしてそれを土に戻すことで作り、作物の品種やその状態に応じて300種類以上もあるとか。さらに天敵を使って害虫を抑えるという。
 その後、一行はここで生産された野菜を使った昼食に舌鼓をうった。
 友の会の大塩祐二さん(おおしお・ゆうじ、72、三重)は、「農薬を減らすのが有機農法で、使わないのが自然農法だとか初めて知った。もっと身近な場所で手軽な値段で手に入れば、こんな野菜を毎日でも食べたい」との感想をのべた。
 プロポリス生産者で、熱心に質問を重ねていた河邑傑さん(かわむら・まさる、68、三重)は、「世の中の主流は遺伝子組み替えや農薬・化学肥料だが、ここではまったく反対の方向(自然農法)に向かっているのが興味深い」とコメントした。
 また清水秀策さん(76、愛知)も「岡田哲学の食事健康法や、感謝の念が基本である幸福な家庭作りを聞き、感動した」などとのべた。世話役筆頭の小笠原勉さんによれば、友の会は97年に創立し、220人の会員がいる。