ニッケイ新聞 2011年6月4日付け
政府の戦略的電力計画の一つとして2030年までに予定していた4つの原子力発電所建設計画を、エネルギー調査会社(EPE)が見直していると6月1日付エスタード紙が報じている。
建設計画続行か否かの結論は、新しい国家エネルギー計画(PNE)が発表される2012年に明らかにされるが、政府の技術者とジウマ・ロウセフ大統領の側近は5月31日、4つの原子力発電所建設計画は優先順位から除外されるだろうとコメントしている。
新しい計画は2035年までの戦略を見据えて立案されるもので、EPEが福島第1原発事故の経緯を見極め、核開発計画拡大路線を維持するべきか否かを検討した結果次第で、今後も原子力発電所の建設を続けるかが判断される。
3月16日には中国が原子力発電に関する安全規定を改定する方針を固め、改定されるまでは新たな原子力関連プロジェクトの承認を一時中止している。また、5月30日にはドイツが2036年まで原発の操業を維持するという議会決定を14年前倒しし、全ての原発を2022年までに廃炉とすることを決定している。
ブラジルでは20年間建設が中断されていたアングラ3(リオ州アングラ・ドス・レイス市の原発原子炉)の建設が再開されており、その完成後に、新しく4つの発電所が建設されることになっていた。アングラ3の建設と運営を担当するエレットゥロヌクレアル社によると、国内3基目の原子炉は2015年完成予定という。
PNE2030で建設が予定されていた四つの原発の内、最初の二つは北東部のサンフランシスコ川沿いへ、あとの二つは南東部への建設が予定されていた。
正確な建設場所の決定作業はルーラ政権の終わりから一時中断されており、原子力発電の拡大も含めた決定は、ジウマ政権に託されている。ジウマ大統領は福島原発の影響が明確にされるまでは正式に問題を議論するつもりはなく、現時点では計画を凍結。新しい会議の日程も決めていない。