ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | パロッシ官房長官遂に辞任=孤立無援に耐えきれず=後任は実務型の計画推進役=ブラジル初の閣僚夫婦が誕生

パロッシ官房長官遂に辞任=孤立無援に耐えきれず=後任は実務型の計画推進役=ブラジル初の閣僚夫婦が誕生

ニッケイ新聞 2011年6月9日付け

 2006〜10年の4年間で資産20倍増との報道で、疑惑の的となっていたパロッシ官房長官が7日午後、辞表を提出し、ジウマ大統領が受理した。後任はパラナ州出身のグレイシー・ホフマン上議で、8日に就任と8日付伯字紙が報じた。

 パロッシ氏を巡る疑惑は、5月15日付フォーリャ紙が、2009年に88万2千レアルの事務所、2010年に660万レアルのアパートを購入、下議時代の4年間で資産20倍と報じた事がきっかけ。同氏の釈明の遅れが、ジウマ政権最初の混乱も招いた。
 パロッシ氏を大統領選参謀に推し、官房長官にも推薦したルーラ前大統領は、労働者党(PT)を上げて同氏を擁護し、政権内に留めるよう求めたが、政局の混乱や内外からの辞任請求の声の高まりにジウマ大統領自らが釈明を要請。テレビと新聞への説明は3日に行われたが、コンサルタント会社の顧客名は伏せたままなど、疑惑解明には不十分だった。
 野党側は検察省への捜査要請や議会審理委員会(CPI)設置へ動きを見せ、下院への召還も決めたが、3日の釈明が不十分だった事もあり、上院のCPI設置賛同者が増えた7日午前、ジウマ大統領が個別会談。孤立無援となった同長官は午後、辞表を提出した。
 大統領の胸の内では6日の内に同氏辞任の筋書きが出来ていたが、検察省が6日に不正な金の受け取りや職権乱用に当る証拠はなく捜査打切りと発表した事で、改めて個別会談となったようだ。
 後任のグレイシー・ホフマン上議はパラナ州から最多得票で選出された新人だが、ルーラ政権で企画相、現政権で通信相を務めるパウロ・ベルナルド氏の妻。現通信相が下議時代の秘書室長また上議として議会とのやり取りも知る同氏は、法学部在籍中から政治活動にも関わり、1999年からは南マット・グロッソ州政府、2001年からはパラナ州ロンドリーナ市で局長などを歴任。第一次ルーラ政権の組閣作業にも現大統領と共に参加した。
 また、ジウマ大統領が鉱山動力相だった2003〜06年は、イタイプ発電所の財務担当理事を務め、実務能力にも磨きがかかった。上議就任後は〃上院のブルドッグ〃〃鉄の女〃などの異名をとり、野党の質問にはもらさず答える政府擁護派で、前大統領に政府がパロッシ擁護に動いている事の戦略的意義を尋ね、辞任を求めた最初のPT党員でもある。
 議会との交渉術も心得た同氏は当初、大統領府調整担当長官候補に名前が挙がっていたが、官房長官にはかつての自分のような実務型の計画実行推進役を望む大統領が7日、パロッシ氏の後任にと就任を要請した。
 グレイシー氏の官房長官就任で、ベルナルド通信相とのブラジル初のおしどり閣僚誕生だが、現政権は大統領と官房長官、企画相といった主要閣僚に女性就任の初物尽くし。