ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | 雲行き怪しい?プレサル開発=外国企業は投資に慎重=ペトロブラスは借金膨張

雲行き怪しい?プレサル開発=外国企業は投資に慎重=ペトロブラスは借金膨張

ニッケイ新聞 2014年1月10日

ブラジル沖合で大規模な岩塩層下油田(プレサル)が発見された2007年、政府関係者はエネルギー産業部門で世界有数の重要国家になると豪語した。6年後の現在、ペトロブラスは多額の借金を抱え、外国企業は投資に足踏みという状態で、当地の石油産業は国の経済同様、停滞していると言わざるを得ない。米国ワシントン・ポスト紙の翻訳記事を8日付エスタード紙が掲載した。

世界の石油不足を補うポテンシャルありとみられていたブラジルだが、現在はカナダのオイルサンドやアフリカ各地の原油、シェールガスなど、世界中でより魅力的な開発案件が出てきていることもあり、外国企業がブラジルのプレサルへの投資にますます慎重になっている。

しかも、プレサル開発による原油生産量は日産30万バレルで、予想を大きく下回っている。ペトロブラスは、2020年までに原油生産を日産530万バレルまで上げる計画を立てていたが、エジソン・ロボン鉱山動力相によれば、現在は、10年以内に日産470万バレル達成との目標に変わり、うち310万バレルを国内消費に、160万バレルを輸出に当てる計画だという。

ただ、その計画を「非現実的なまでに楽観的」とする専門家もいる。プレサル発見以降は有望な堆積盆地が見つかっていない上、プレサル開発には2370億ドルが必要と言われ、世界で最もコストがかかるプロジェクトと見られている。「ペトロブラスはそれだけの事業をマネージするキャパシティがない」との声もある。

また、不調な国内の造船業界活性化のため、ペトロブラスおよび提携会社は石油開発プラットフォーム、その他の関連装置建設を国内で行う必要があり、それが巨額の支出と備品不足という結果を生んでいる。

また、ペトロブラスには、どのプレサル油田でも最低30%の資本参加をすることが義務付けられている。このことが同社に財政面での大きな責任を強いるだけでなく、外国企業参画の可能性も遠ざけている。

ペトロブラスは数年来、コモディティ価格高騰やレアル高、インフレといった実勢以下の価格調整を強いられており、昨年認められた年数度の値上げで収益改善を図ろうとしていた。しかし、値上げ承認後の初調整も実勢以下だったため、大幅な株価下落も招いた。

昨年第3四半期の同社の負債額は250億9千レに達し、ペルー、アフリカ各地、メキシコ湾などの資産売却で対応を図っている。このため、推定埋蔵量10億バレルのセルジッペ州の油田など、収益性が高いとされる原油開発も先送りされている。