ニッケイ新聞 2011年6月11日付け
日本の稽古事は厳しい—30周年記念講演を5日に開いた筝曲宮城会の長瀬令子会長と、魁聖後援会長の黒田吉信氏の話を聞いてそう思った。
「一生稽古」と言われるように箏の道は長い。宮城会も幼い頃から50年、60年と続けている人が多い。
非日系人の愛好者も増えているが、早く弾きたい気持ちが強く、「型や基本を大切にする箏はあまり長続きしない」と長瀬会長は漏らす。
相撲でも、日本では毎日行われる稽古がブラジルでは週1、2回。黒田氏が連日のぶつかり稽古で魁聖を試したのも、日伯での違いを知っての行動だった。
だが、厳しいが故に師弟は強い絆を持つ。谷真紗重師範は来伯直後でも筝曲会員と息ぴったりに合奏し、黒田氏はブラジル初の後援会を発足した。日本とブラジルの距離が、尚更その絆を感じさせてくれた。(亀)